はじめに
彼の逃げ場でありたい
既婚の彼とつきあっている独身女性はどう考えているのでしょうか。ジュンコさん(33歳)には、すでに4年つきあっている10歳年上の既婚の彼がいます。もともとは職場の上司でしたが、彼女が5年前に転職するとき相談に乗ってもらい、そこからプライベートでも親しくなっていきました。
「3月上旬くらいかな、彼と今後どうしようという話になったんですよね。彼はまったく別れる気はないって。でも何かあったら彼の行動が調べられて私のこともバレてしまうかもしれない。彼は『そのときはそのとき。逆に言えばいつまで一緒にいられるかわからないのだから、なんとか時間をやりくりして会おう』と」
ふたりは現在、それぞれの会社から在宅勤務を言い渡されていますが、彼は「家では仕事ができないからと妻に言って出てきた」と、ホテルのリモートワーク用デイユースなどを利用し、そのまま彼女の家に来ることが多くなりました。
「うちに来ると家庭の愚痴などを言っていますね。前は言わなかったんだけど、やはり家にいる時間が長くなると、夫婦関係が円満にはいかなくなるみたい。『ジュンコのところに来るとホッとする』と言われました。そんな言葉で一喜一憂はしないけど、少しでも彼の役に立てているならうれしいなとは思います」
この4年間の彼との思い出が、ときどき鮮明に蘇ってくると彼女は言います。いつも彼に助けてもらったり励ましてもらったりしてきた日々。だからこそ、彼がこれからも仕事も家庭も順調に進むよう、彼女のできることをしていきたいのだそう。
「私、彼と結婚したいと思ったことはまったくないんです。むしろ、彼の家庭にバレないまま、できる限り長くつきあっていきたいと思ってきました。今もそう思っています。彼の今もっている幸せはそのままに、私がプラスで彼のためになれればいいなと」
“愛人の鏡”のような発言ですが、そういうことではないとジュンコさんは穏やかな表情を浮かべます。
「彼には仕事や人間関係について本当にいろいろ教わりました。細かく気を遣ってくれる人で、今もウチに来るときは、ちょっとしたものを持ってきてくれるんです。ワインだったりおつまみだったり。転職先の給料が最初は安くて私が苦労していたとき、いつもごちそうしてくれました。何も言うなと10万円渡してくれたこともあった。そのとき、本当にお金がなくて、どうしてわかったんだろうと不思議に思ったものです。給料が上がってボーナスもきちんともらえるようになってから返しましたけど、彼はそのお金でまたごちそうしてくれて」
男女の恋という枠を越えて彼の人間性に惚れ込んでいるからこそ、ジュンコさんはこの関係を続けていきたいと願っています。
この状況で何かあった場合、大変になるのは想像できなくはないとは思うのですが、冷静になる人、人と合うことでバランスを取る人…男女関係は人それぞれのようです。