はじめに

アラフォー女性が、50代の男性に初お見合いからあまりにも積極的に結婚を迫られ戸惑っている、というケースが散見されています。


熱心なデートのお誘いは彼女にとってこれまでにない経験で、心から嬉しいと思ったものの、相談所の方から「お相手のご両親はどういう状況かきちんと確認した方がいいですよ」と言われました。

同居していることは聞いていましたが、確かに確認していないということで、デートの際に確認したところ、お父さんは寝たきりで、介護していたお母さんも数か月前に倒れた、とのこと。「2人ならきっと乗り切れるよ!」

50を過ぎるまで親と同居、どうやら身の回りやお父さんの介護はお母さん任せ、お母さんが倒れたとたんに婚活。趣味は毎週末のドライブやゴルフだったけれど最近なかなか行けなくて……とぼやいていた彼の実態に、彼女はすぐにお断りの連絡をいれたといいます。

この男性の考え方、生き方、彼女のとらえ方についてはここではさておき、彼の期待していた「介護要員獲得」目的の婚活の難易度を、早速データで確認してみたいと思います。

親の介護賛成派は10年で20ポイント近く下落

国の研究所が5年に1度実施している調査対象選定の信頼度の高い大規模調査「全国家庭動向調査」の第4回(2008年実施)から第6回調査(2018年実施)のデータを見てみたいと思います。1106の国勢調査区の中から無作為抽出した300の調査区に住んでいる「結婚経験のある」女性が調査対象となっています。有効回答は9790で、うち有配偶女性は6142となっています。

さて、この1万人近い女性のうち、「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」と考えている女性はどれくらいいるのでしょうか。

全く賛成、と回答した女性は2008年にはまだ10人に1人弱いたものの、2018年には20人に1人を切る状況です。

これに「どちらかといえば賛成」を合算した場合でも、2008年には63.2%と5人に3人超だった割合が2018年には18.2ポイント下落し、45.2%と2人に1人を切ってきています。

つまり10年前と比べて、親の介護を前提条件とした場合に女性から受け入れられる可能性は大きく減った、ということがみてとれます。
もはや「年老いた親を普通は介護してくれるものだ」という考え方は、普通の考えではなくなったということです。

若い女性ほど寛容?

次に2018年の結果を回答者の年齢ゾーン別にみてみたいと思います。

20代までの若い女性と70代以上の高齢者で高くなっていることと、その間の年代では年齢が上がるにつれて厳しい回答となっていくことがわかります。

これに関しては筆者も10年以上の祖母の介護経験があるためによくわかるのですが、20代においては、

・自分の親がまだ50代程度である
・自分も体力気力に満ちている

の2点から、そもそも介護リスクを感じ取りにくい状況下での回答、ということがいえます。

30代以降は、

・体力の減少を感じ始めるために、無理をしたくない、という思いが年々強まっていく
・親も還暦を過ぎて老いを明確に示し始める

の2点から、どんどん介護リスクに目が行くようになるのです。

しかし70代以降となると、

・自分が介護される側の考え方になる
・親の介護があってもそう長くない見通し

の2点から、介護リスクへの視点が変わったり、リスク感度が再び下がったりするのです。

では、「若い女性と結婚すればいいのだ」は、あまり現実的な回答とはいえません。

初婚同士の夫婦の年齢差は、2歳を切っている状況が続いています。また男女どちらが上でもいいのですが、3歳までの年齢差に7割のカップルが集中しています。

婚姻相手として年の差のある若い女性から簡単には選んでもらえない、という実態があるのです。
そして、それ以上にもっとシビアなデータがあります。

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