笑って済まされない失敗

本来の株式投資では先に売るということはないのですから、保有している株が株価が下落すると思えば売却をすればいいだけの話ですし、保有していない株がどれだけ下がっても持っていないのですから損失になることもなく「関係ない」ことなのです。

それが、上がったときに利益が出たものを下がるときにも利益を出そうと考えること自体が失敗の元なのです。

江戸時代の米相場の世界から同じようなことがあったようで、米相場の神髄を著した本の中に「笑って済まされる後悔、笑って済まされない後悔」ということが言われています。この「後悔」=「失敗」と考えればわかりやすいのですが、失敗と言っても失敗ではないような失敗と取り返しのつかなくなるような失敗というものがあります。

筆者が若いころのとっておきの失敗談をお話します。100円で買った株がたった2週間で200円になったことがあります。喜々として売却したところ、その後半年くらいかけて2,000円まで上昇したのです。売却を焦らなければ一気に資金が20倍になったところでした。

この失敗は資金が2倍になっているのですから「失敗」とは言えませんが、ここで200円まで上昇したのだから50円くらい下がるだろうということで信用取引で売っていたらどうなったでしょう。50円を儲けようと思って1,800円の損失となっていたことになります。そうなれば、失敗談として回想できる話では済んでいなかったはずです。

「下がる相場でも利益を出そう」などと言って欲をかくとろくなことがないのです。「二兎追うものは一兎も得ず」と若干意味は違うのですが「上げ下げどちらでも利益を出そう」と思わないことが「笑って済まされない失敗」を避けることになるのです。先に売りから行うなどということは初心者では行うことがないのですが、少しうまく行き始めて、インターネットなどで「売って儲けた」などという話を聞いたり、「下げ相場で儲けるには……」などいうことが取りざたされると、スケベ心を出してしまうことがあります。

いつでも笑って済ませられるような失敗をしながら投資の腕を磨くようにしたいものです。