はじめに

フロントをこすらないように……

今回のEVOのRWDモデルはそんな走りの楽しさに、スパイダーとしての楽しみが加わるわけです。さっそくキーを受け取り、エンジンスタート。ブオオ~~ン! いきなり爆音と共にV10エンジンが目覚めますが、少しするとアイドリングはスッと落ち着いてエンジン音は爆音から、ボボボボボといったごくごく常識的なエンジン音になります。

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路面すれすれのフロントスポイラーをこすらないようにリフト機構を作動させて走る

いよいよ乗り出すのですが、ここでやることがあります。駐車場から路面に降りるときの段差で長く突き出したフロントスポイラーをこすらないように、フロントをリフトしなければいけません。さっそくダッシュボードにあるスイッチを押すとフロントがゆっくりと50ミリほどリフトします。

日常的にこのテのスーパースポーツを扱うときには必須の作業といえます。ガソリンスタンドに入るとき、道路から歩道を通りコンビニに入るとき、踏切の凸凹を通過するとき、かまぼこ形の路面を乗り越えるときなどなど、フロントスポイラーをこすったり、お腹を打ったり擦りそうなときは必ず行います。マクラーレンなどでも同じようにリフトを作動させて走るります。スーパースポーツを走らせるときには常に気を遣う部分です。ただ、このクルマを自腹で購入できる人で「少しぐらい擦っても構わないよ」というオーナーさんに会ったこともあります。

でも、私達は試乗テスト用にお借りしている大切なお車。自分の車のようなゆとりはとてもありません。髪の毛一本ほどの傷でもたいへんなことになります。ちなみに私達がこうして高額なお車をお借りするとき、出版社などによっては1週間ほどで10万円以上(あくまでも参考価格)の車両保険にも加入します。

さて無事に路面に降り走り出します。ここからは本来の走りを楽しみましょう。全力で安全に留意しながら、610馬力の加速力を試したり、V10のサウンドを楽しみながら、パフォーマンスを試します、と言いたいのですが、混雑した一般路では大人しいものです。「ランボルギーニだから速く走れ」といった脅迫観念も抱くことなく、それなりに高速道に乗り込んでからは、もう法定速度がもどかしく、むしろフラストレーションが溜まりますが、それでもスーパースポーツとして素性の良さを心ゆくまで楽しむことができます。

何よりもRWDのなんとも軽快感のあるドライビングのフィールは心地いい。4WDの4輪で路面をがっちりと捕まえている感覚も悪くはないのですが、後輪がパワーを、前輪が操舵とブレーキをという明確な役割分担による運転感覚は実に気持ちがいい。何よりステアリングフィールが軽快で楽しくなります。

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