はじめに
投資チャンスがある業種は?
では、観光業の回復で恩恵を受けるのはどの業種でしょうか。まず浮かぶのは今回のキャンペーンを利用するのに必ず使われるオンライン旅行関連、あるいはキャンプなど外でのアクティビティの増加が予想されることアウトドア関連ではないでしょうか。
ただし、これらの銘柄は景気刺激策として観光業が対象となることを織り込み、すでにコロナショック前の株価の水準まで戻しているものも多くあります。「Go to キャンペーン」の開始をきっかけにさらなる物色となる可能性も高いですが、高値圏の銘柄の取引には注意が必要です。
また、人の移動の回復に伴って需要の回復が予想される空運、陸運もリバウンドを狙った買いが入る可能性があるのではないでしょうか。6月30日時点での業種別の値動きを3ヵ月前比で見てみると、空運業が最も低く▲13.4%、陸運業も4番目に低く▲2.8%と株価は低迷しています。空運業は国際線の回復には時間がかかりそうであることから、陸運業よりも期待値は高くないですが、出遅れセクターとして物色されるかもしれません。
加えて、中長期的にはREIT(不動産投資信託)も注目できるのではないでしょうか。東証に上場しているREIT全銘柄からなる東証REIT指数は新型コロナウイルス発生前には2,200pt台を超えていましたが、一時半値の1,100pt台まで暴落し、現在も戻りは弱く1,600pt台で推移しています。
REITの中でもホテルリート、商業施設系リートに注目です。共に緊急事態宣言による稼働率の低下、夏に予定されていたオリンピックの延期を嫌気して大幅に下落し、先行きも不透明であることから、戻りが限定的な銘柄も多く見受けられます。割安になっている銘柄はリバウンドが期待できることに加えて、リートは利回りが高い銘柄も多数あるため、長い目で見ると高い投資成果があがるかもしれません。
「Go to Travel キャンペーン」の開始に向けて、消費・投資の両面で恩恵を受けるために、いまから準備してみてはいかがでしょうか。
<文:Finatextグループアナリスト 菅原良介>