はじめに
中期的にはまだ上昇余地あり?
では、このような個人投資家の動向は先々のマーケットにどのような影響を与えるのでしょうか。
一般的に信用取引の買い建玉は短期的には株価の上昇要因となるものの、中長期的には利益確定売りを招くため下落要因になります。反対に売り建玉は短期的な下落要因となるものの、中長期的には利益確定の買戻しを招くため上昇要因と捉えられています。
上のグラフを見てもわかるように、現状では買い建玉も売り建玉も増加基調になっているため、両方の売買が打ち消しあって、マーケットは動きづらい展開が予想されます。しかしながら、過去のデータを見ると、信用の買い建玉はまだ伸びしろがある一方で、売り建玉は2019年のピークに近い水準となっています。
また、買い建玉と売り建玉を差し引いた赤色の折れ線グラフを見ても、まだ買いポジションに偏った状況にあるとはいえません。
このことから、信用残高でみる限り、短期的には上下どちらにも動きづらい状況にあるものの、中期的にはまだまだ上昇余地がある、と見ることができるのです。
<文:シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎>