はじめに
夫婦別財布の欠点
近年は共働きが多いので、収入は自分自身で管理するという夫婦別財布のご夫婦は多いものです。また、出産や病気などさまざまな事情で妻が休職したことをきっかけに、または結婚当初から、相談者さんのように稼ぎは夫がメイン、妻がその一部をもらって日々の生活費をやりくりするようになったという夫婦別財布も、多く見かけます。
どちらにせよ、支出を別々に管理していると、相手が自分が思っているのとは違うお金の使い方をしていることがあります。また、互いに重複した支出をしている場合もあるでしょう。ムダ使いをしていることもあるかもしれません。
このようなことに、なかなか気が付けないのが、夫婦別財布の欠点です。互いのお金のことをオープンにしてみたところ、相手に多額の借金があることが分かったなど、ひどい状況でショックを受けたというケースもあります。互いが自立・尊重されるという点はメリットといえるかもしれませんが、お金の使い方がばらばらだと、生活の仕方もばらばらになってしまうこともあります。
できれば家計は昔のように1つにして管理することが良いのですが、「自分の稼ぎ」の意識が強い現代では、なかなか難しいことのようです。
家計を一つにするメリット
家計を一つにするという一見ハードルが高いと思えることが、夫婦別財布による問題を解決する糸口になります。ですが、急に1つにするとどうしてよいかわからないとか、自分の収入を相手に任せられない、自分でお金を自由に使えないのが嫌だなど、さまざまな問題が発生しがちです。
こういった気持ちもわかるのですが、そのままでは家計は良い方向に向かないので、支出の仕方を共有することができるように話し合い、報告しあえるような機会を設けることが大切になります。もちろん、妻や夫には知らせたくない買い物などは無理に共有しなくても良いでしょう。こづかいの範囲での支出となれば良いのですから。それ以外の家族が暮らすための住居費や水道光熱費、食費、日用品代など、一緒に暮らすための支出は、互いに知っておくべきです。共有できていれば、「今月はなぜ支出が多かったのだろう」「これは必要なかったのかも」という、支出のふりかえりもしやすいですし、ムダも見つけやすくなります。
夫婦別財布から家計を「一つ」に近づける方法
そして、夫婦別財布のもとで家計管理を上手くしていくには、共有する部分を多く持つということもポイントになります。家計を一つにするといっても、急にすべてを共有することはムリだと考える人もいいので、食費、日用品代、水道光熱費、通信費など、毎月変動する支出の一部を報告しあうところから始める人が多いのですが、次第に被服費、交際費……というふうに共有する部分を広げていったほうが、互いの価値観を合わせた家計管理ができます。