はじめに
「ミライ」の全貌
ミライは、普通になることを、まずスタイルで表現しました。昨年の東京モーターショーですでに「MIRAI Concept」として発表されていましたから、覚えている方も多いと思います。そのスタイルは少々ぼってりとした初代とは、方向性が違ったスタイリッシュなサルーンという佇まいです。
流麗という表現を使えば、間違いではありませんが、一方で初代にあった“特別感”は希薄になりました。初代はカッコいいかどうかは別としても、目立ち度はかなり高く「ミライに乗っているんだ」という特別感のあるスタイルで、けっこう街の中では目立っていたのです。
一方でミライ・コンセプトのプロポーションは、なんともスッキリとしたスポーティなスタイルなのです。サイドからのフォルムはクラウンやカムリといったトヨタのプレミアムサルーンの流れの中にあります。
「かたまり感」のあるリアスタイルは安定感を感じさせます
そのボディの大きさですが全長4975mm、全幅1885mm、全高1470mm、そしてホイールベースは140mm伸びて2920mmとなっていますから、旧型より、すべてのサイズでひとまわり以上の拡大となっています。こうしたサイズの拡大や延長の一因には、3個の水素タンクを搭載するため、という理由があったそうです。つまり水素の搭載量を増やせば、1回の水素充填での走行距離が伸びるわけですから、当然、新世代のミライは考慮すべきポイントになります。
黄色の太い水素タンクがキッチリとフロア下に納められています
こうして出来上がったミライ・コンセプトのプロポーションですが、全長と全幅でクラウンよりも少し大きくなりました。ちなみに全高は15mm高く(2WD比で)、ホイールベースは同じです。このサイズ感でみると、まさにトヨタの最上級のオーナーカーといいたげな堂々たる佇まいとなります。
ここにミライが狙っている“普通になる”という意味があるようです。フロントマスクのデザインもあるのですが、切れ長のヘッドライトを備えたフロントマスクは低く構えた印象。そしてワイドなボディが安定感のあるキャラクターを完成させています。さらに前後のバンパーにはわずかですが旧型ミライの面影を感じさせるデザイン要素を残しているあたりは、初代に続き新型の開発責任者を務めた田中義和主査による「技術の伝承」という主張を感じました。
そんなスタイルを見ながら乗り込んでみました。リアシートの足元が少しばかり狭いかなぁ、と感じましたがストレスになるほどではありません。確かにリアシートやトランクの下、そしてセンターコンソールの下などに大きな3本の水素貯蔵タンクが配されるというFCVならではレイアウトが影響しているのでしょうが、かなり巧みに搭載されていることで、窮屈などと言うことありませんでした。当然、ショーファーカーとしてもちゃんと使えます。