はじめに
古きを捨て新しきを取る
インテリアに関しては従来からのデザインを踏襲していますが、メルセデスファンならば写真を見て「あれ?」と思うかもしれません。その理由はセンターコンソール下部に設置されていたアナログ時計が無くなっているのです。
クルマに装着されるアナログ時計は他の高級車ブランドなどもこだわりをもっており、メルセデス・ベンツをひとつの“手本”としていたほどです。
ただ自動車業界におけるトレンドのひとつである「CASE」を考えると、よりそれらの機能を優先することが求められます。すでに搭載されている最先端インフォテインメントシステムである「MBUX」を進化させ多くの人に認知してもらうためには「古きを捨て新しきを取る」必要があったのかもしれません。
またステアリングホイールに関しても今回試乗したグレードにはメーカーオプションとなりますが、AMGスポーツステアリングが装着されています。このステアリングは次期Sクラスに搭載されるものと同じ形状を持ち、先進安全装備を含めたステアリングスイッチ類も全て刷新されています。
次期Sクラスに搭載される予定の新デザインのステアリングホイールや先進装備を搭載します
このステアリングホイール、実際に握った感触も良好なのですが、中身もしっかり進化しています。EクラスにはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使い、高速走行や渋滞時でもステアリングを軽くそえているだけで自動での加減速やステアリングアシストをしてくれる機能を搭載していますが、新型ステアリングはセンサーの方式を変更しました。これにより従来以上に高感度かつ高認識することで結果としてドライバーの疲労軽減に寄与することになります。
AIで賢くなった音声認識システム
メルセデス・ベンツの新世代インフォテインメントシステムである「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)」も進化しました。日本では現行のAクラスから搭載を始めたこのシステムは「ハイ、メルセデス」が発話トリガーとなってカーナビやオーディオ、さらにエアコンなどのコントロールも音声で行うことができます。
その一方で当時のAクラスは例えば運転中に「メルセデスのクルマって良いよね」とか話していると、「どんなご用でしょうか」と勝手に認識してしまうことがありました。
しかし新型はこれらを含め大幅に改善、いわゆるAIも活用していますが、エアコンを使っていて「温度を25度にして」とわざわざ発話しなくてもこの時期であれば「寒い!」と言えば理解し室温を変えてくれます。
これまでは人間側が発話トリガーとなる一定量の文章を覚える必要もあったのですが、新型はMBUX側が語彙を含めた認識能力を高めたことで使いやすさはかなりのレベルで向上しています。