はじめに

親は自分の仕事に実感を抱くことができない?

そして最後のクエスチョン「自分や家族と同じ業種や職種に就いてほしい?」という問いを見てみましょう。この問いからは意外な結果が出ています。

子どもに、自分と同じ職種に就いてほしいと考える親はなんと12.6%。1割強にしか満たない数字で、8割以上の親は、「そうでない職に就いてほしい」と考えているようです。

以下はあくまでも仮説ですが、今子どもを育てている親は、世代的に「仕事での成功を掴みきれていない」「完全に仕事をまっとうした実感がない」「やりがいを感じられない」といった思いが隠されているかもしれません。

日々真面目に働いていても、未曾有の事態がたびたび起こり、そのせいで足止めを食う、辛酸を舐めるといった例は枚挙にいとまがありません。そうなると、「自分の仕事は将来性があるものなのか」「本当に子どもにつなげる仕事なのか」と自信を持てなくなるのは当然です。

こういった理由から「自分が就いている職業」云々よりも、子どもにはまず「安定」「堅実」な職に就いて欲しいという思いがあるような気もしました。

今回ご紹介した「親が子どもになってほしい職業」には、同時に親自身が「今の時代を過ごす大変さ」「しんどさ」が強く反映されているようにも思いました。どんな親でも子どもには豊かで幸せになってほしいと願うものですが、今は親自身がまず大変で、なおかつ夢のような未来がなかなか想像できません。

もしかすると、子どもには今の自分のような思いをさせないためにも、できるだけ安定を望む職業に就いてほしいと考える人が多いのではないかと思いました。

出典
調査対象:お子さんのいる全国の男女
調査人数:500人(女性356人/男性144人)
調査日:2020年10月24日~26日
調査方法:インターネットによる任意回答

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