はじめに

マンガは海賊版の被害が大きい

映像に続き、マンガの方に注目してみると、こちらはもう少し時間は掛かるかもしれません。その理由は、海賊版による被害が非常に多い状況だからです。

海賊版サイトで有名であった「漫画村」による被害額は3,000億円以上といわれています。海外ではまだ正規な方法でマンガへのアクセスがしにくいことや、翻訳が遅かったりすることで海賊版が溢れている状況です。

しかし裏を返せば、そこまでしても見たいというニーズは非常に高いとも取れるでしょう。この状況も、マンガサブスクリプションサービスや電子書籍、翻訳の迅速化など、着々と収益拡大期が近づいていると考えます。

更に、日本ではリーチサイトが違法化されただけでなく、今年1月1日より著作権法改正により、海賊版と知りながらマンガなどの著作物を読むためにダウンロードすることが違法化されました。

海外でも、徐々にですが海賊版への取組みが厳しくなってきています。また、ブロックチェーン技術が大きな役割を持つ可能性があります。所有権の明確化や偽造の困難さから電子書籍と非常に相性が良いため、海賊版の被害を減らす可能性があるのではないかと考えます。

著作権ビジネスにおける注目企業

注目企業は、キャラクターや作品の著作権、つまり知的財産(IP)を持っている企業です。

・ソニー(6758.東1)……ゲームのサブスクリプションで成功を収め、鬼滅の刃の制作に関わるアニプレックスを子会社に持ち、クランチロールを買収しました。

・メディアドゥ(3678.東1)……電子書籍の取次最大手です。3月に業界向けアルファ版として、ブロックチェーン技術を用いた第1段の「ソーシャル映像視聴サービス」を提供開始します。

・バンダイナムコグループ(7832.東1)……豊富な著作権保有コンテンツ数を誇り、海外市場の取り込み余地が大きいと考えます。

・東映アニメーション(4816.東JQ)……海外でも人気の高い、美少女戦士セーラームーンの劇場版が来年初頭に公開が控え、ワンピースやプリキュアなどにも携わっています。

・ブシロード(7803.東マ)……新日本プロレスやBanGDream!、トレーディングカードゲームなど各種IPを持ち、新たなIPとして育成中のD4DJのアニメを全世界(字幕15カ国語・吹き替え3ヶ国語)で配信して、世界市場の開拓を狙います。

・アルファポリス(9467.東マ)……自社運営サイトに投稿された小説などを書籍・マンガ化する事業を展開しています。

・KADOKAWA(9468.東1)……動画配信・出版大手で、「niconico」などを持ち、アニメ・マンガ・映画などのIPビジネスを国内外に展開しています。

<文:投資調査部 饗場大介>

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