はじめに

就活、婚活、妊活、保活……と、女性のライフステージにおける「○活」は、とどまることを知りません。

再来年、小学校入学を控える長男を持つ筆者に今、押し寄せてきているのは「ラン活」。その名の通り、「子供にランドセルを購入する活動」のことだとか。なぜこのラン活が、近年加熱しているのでしょうか。

今回は、“ラン活戦場”の真っ只中にある「土屋鞄製造所」の広報・前田由夏さんに、最新のラン活事情をおうかがいしてきました。


人気ランドセルはすぐに売り切れに?

――そもそも「ラン活」がブームになったのはいつ頃なんでしょうか。仕掛け人はズバリ、土屋鞄さんだったのですか?

土屋鞄製造所・前田由夏さん(以下同): いえいえ、そうではありません。わたしたちの耳に「ラン活」という言葉が届いたのも、ここ数年のお話です。

過去10年の「ラン活」の検索回数の推移(グーグルトレンドより)

こだわりの“ひとつ”がほしいという親御様の思いと共に、ランドセルの検討は年々早まっているようです。

土屋鞄のランドセルは、一つひとつが職人による手作りなので、一年間に作ることができる数に限りがあります。

本当に気に入ったものは早く買わないと売り切れになってしまうというイメージから、「ラン活」という言葉がどんどん大きくなっていったのかもしれません。

「土屋鞄製造所 西新井本店」には工房が併設。実際の製造風景が見学できる

――わたしたちが子供の頃は、ランドセルといったらほとんどが「赤」か「黒」で、みんな同じようなものを持っていました。近年は土屋鞄製造所さんのような“工房系”と呼ばれるランドセルも人気ですね。

最近は、デザイン、色、素材もさまざまなものからお選びいただけるようになってきていますよね。

土屋鞄はシンプルなデザインと丈夫な作りが特徴です。職人の手仕事に共感いただけるお客様に、お選びいただいていると思います。

情報解禁は春先! 夏が購入のピークに

――ラン活でてんやわんやしている、周囲の先輩ママを見ていると少し不安になります。百貨店でも、4月頃から売り場ができているところもあり、ランドセルの販売開始は、年々早くなってきているようですね。土屋鞄製造所さんの、2018年新作の販売状況を教えていただけますか?

今年は、5月24日より、店舗での先行展示期間を約1ヶ月間設け、かつ店舗がない全国19エリアで出張展示会も行いました。焦ってご購入いただくのではなく、まずはお客様にランドセルを実際に見て、ゆっくり選んでいただくことに重点を置き、展示期間をしっかりご用意しました。

その期間を経て、6月27日から30日までの4日間、Webにて先行注文受付を行い、7月1日より店舗での注文受付を開始しました。

――春先から新作をリリースして、夏前にはもう先行展示を始めているんですね。今からでは、もう買えないんでしょうか……。

一部完売のシリーズもありますが、8月現在ではまだ約50種類からお選びいただけます。

注文受付開始後すぐがひとつのピークではありますが、本格的な夏休みに入ってから、おじいさま、おばあさま方、ご家族皆様で店舗に来ていただくケースも多いので、夏もランドセルをお選びいただくシーズンです。ご注文が製造予定本数に達したものから、受付終了となります。

「土屋鞄製造所」2018年度入学ランドセルの発売スケジュール

店舗で先行展示開始5月24日~
Web先行注文受付6月27日~30日(4日間)
店舗・Web注文受付開始7月1日~

情報を制するものが、ラン活を制す?

――昨年は、ネット販売当日にサイトがつながりにくく、即完売してしまった品もたくさんあったと聞きました。たくさんのママが、お目当てのランドセルを買えなかったと嘆いていたとか……。

昨年はサイトにつながりにくかったことで、たくさんの方にご迷惑をおかけしてしまいました。ただ実際には、即日完売となったランドセルはなく、販売開始から約2週間後の7月中旬から完売するシリーズが出てくるような状況でした。

――今年は、どうだったんですか?

昨年の反省を受け、今年は注文の受付方法を見直しました。まずWebでの先行注文受付を行いましたが、その受付時間をランドセルの種類ごとに細分化。その結果、スムーズにご希望の商品をご購入いただくことができました。

――ママ友も「ほしかったものが買えてよかった」と喜んでいました。再来年度入学の我が家の場合には、来春のリリースに向けてそろそろ比較検討を始めないとですね。ラン活、焦ってきました!

販売本数に限りのある一部のランドセルは、売り切れが早くなりがちですが、「ランドセル選びをけっして焦らないでほしい」というのがわたしたちの願いです。

お子様の成長をご家族で祝う大切なお買い物ですので、選ぶ時間もご家族で楽しみながら、じっくり選んでほしいと思っています。

――次回記事では、土屋鞄さんが教えてくれた「ランドセルの選び方」をお伝えします。6年間使うランドセルだからこそ見ておきたい、吟味すべきポイントを聞いてきました。

▶後編:老舗「土屋鞄」に聞いた、6年間使えるランドセルの選び方

取材協力:土屋鞄製造所
1965年創業の老舗ランドセルメーカー。近年加熱する「ラン活」において、工房系メーカーを検討するなら土屋鞄は外せないというほど、信頼が厚い定番ブランド。全国12店舗の直営店とWebにて2018年度ランドセルを注文受付中。

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