はじめに

「3万円台回復」に沸いた春先の雰囲気もどこへやら、ゴールデンウィーク開けの日経平均は2日で1000円以上も下落、昨日の落下でも心が折れそうになっている人もいるかもしれません。

とりわけ、この落下に一番こたえているのが、年初の好調をみて新たに株取引を始めた人ではないでしょうか。今回はそうした人にこそ読んで欲しい「プロディーラーが大損したときのメンタルマネジメント」の実例を紹介します。

※本記事は『「株式ディーラー」プロの実践教本』より一部を抜粋・編集したものです


怖さと向き合いながら努力する

「怖い」という感情は、危険がたっぷりある相場という世界のなかではとても大切なものです。怖さを知らない、あるいは怖さから目を背けることは、長く相場の世界を生き抜き、勝ち抜きたいのであれば、決していいことではありません。臆病なぐらいでちょうどいいのかもしれません。

たしかに、怖くて手が出せないとか、ビビッてばかりでは話になりませんが、怖さを知っているから、それを克服するための努力、研究を懸命にできるし、怖さを感じられるから、危険を察知することもできるのです。怖さを感じられない人や、直視できない人は、危険な相場の張り方をします。それは会社や投資家から許されたリスクのとり方ではないはずです。個人投資家であれば、自己責任の範囲でやればいいともいえますが、その結果、マーケットから退場することになってしまえば、本意ではないはずです。

私も実際に、怖くて手が震えたり、眠れない夜があったり、悔しくて部屋にこもって大声で叫んだりしたことがあります。一度だけですが、損失の金額に気持ち悪くなり、トイレに駆け込んで吐いたこともあります。しかし、決して弱いディーラーではなかったと思います。

周囲の後輩たちからは、「なんでそんな金額損しても耐えられるんですか?」と聞かれることもよくありました。それは怖さと向き合う勇気を得るために、水面下で必死に努力し、苦しい経験を乗り越えてきたからできたのだと思います。怖さを知らないことは蛮勇、怖さから目を背けることは現実逃避です。そうではなく、怖さと向き合い、怖さを知り、それを乗り越えるための努力をし、そして一歩ずつ強くなることが大切です。