はじめに

NFTはコンテンツの在り方を変える起爆剤に

米国を中心にNFTの市場は短期間で成長を遂げており、Blockonomiによれば2020年には3.15億ドルに達したとみられています。

2020年末からは米プロバスケットボールリーグ(NBA)の選手の写真やプレイ動画が収納されたデジタルカード「NBA Top Shot」に活用されて収集・売買が活発化しています。サービス開始以来で300万回取引され、流通総額も5億ドル以上に達している模様です。2021年に入って、冒頭でお伝えしたような著名人の動きもあり、NFT市場の成長は勢いを増していると考えられます。

米国の急成長をみて、国内でも様々な企業がNFTへの参入を図っています。NFTには多様な業態が関わります。コンテンツやIPを保有する個人や企業にとどまらず、コンテンツを売買する場である取引所や、NFTの発行・取引・保管を支えるインフラや技術なども必要となるでしょう。NFTが広く普及すれば、これまでのコンテンツの在り方が大きく変わる可能性があります。

先ほどは写真を例にとりましたが、他のコンテンツについても考察してみたいと思います。

その1つが電子書籍です。いちよし経済研究所は、2026年の国内の電子書籍の市場を、2019年に比べて約3倍の9,000億円に拡大すると予想しています。メディアドゥ(3678、東証1部)は電子書籍の国内シェア40%を持つ取次最大手企業ですが、NFTをコレクションアイテム向けなどの商用利用サービスとして立ち上げつつあります。

出版取次大手のトーハンと組んで、全国のリアル書店に、NFT版限定デジタルコンテンツを付録(「デジタル付録」)とした書籍を流通させる仕組みを構築中です。NFTのマーケットプレイスと共に年内稼働に向け準備中であり、KADOKAWA(9468、東証1部)、講談社、集英社、小学館といった大手出版社も企画を検討している模様です。

次にオンラインゲームです。あるゲームで入手し、育成したキャラクターはほかのゲームでは使えない、また、あるゲームで入手したアイテムは同一アイテムなら価値が同じ、というのがこれまでの一般的な認識でした。

これが変わろうとしています。ブロックチェーンを活用したブロックチェーンゲームの登場です。ゲーム中のキャラクターやアイテムをNFTにすることで、異なるゲームの垣根を越えてキャラクターやアイテムを活躍させることができます。自分が苦労して育てたキャラクターやアイテムを継続して使える、これまではできなかったゲームの楽しみ方が広がります。

さらに音楽です。エイベックス(7860、東証1部)傘下のエイベックス・テクノロジーズは、NFT事業基盤「A trust」を提供しています。数量限定のデジタル音源およびアーティストのデジタルグッズの販売に資するのみならず、著作権管理のシステムにも応用していく方針です。

参入企業の競合も想定される一方、NFTにかかわる法制度の整備の進展とともに、関連企業の活躍は見逃せないでしょう。

<文:投資情報部 宇田川克己>

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