はじめに
週足終値の相関分析から考察してみる
次に1950年以降の週足終値ベースの相関分析について調べました。2021年1月1週目から2021年7月4週目までの30データと1950年以降の71年分のデータとの相関係数をそれぞれ調べました。この中で最も相関係数が高かった年は1991年で、相関係数は0.68で年間騰落率は▲3.63%でした。2番目に相関が高かった年は2012年、で年間騰落率は+22.94%でした。
日経平均株価週足(終値ベース)の2021年1月から7月末までのトレンドは2021年2月16日に30,714.52円の年初来高値を付けた後、調整に転じて2021年7月30日に27,283.59円の年初来安値を付け、年初高の年央安のパターンとなっています。
今回の2021年と過去71年間のなかでは最も相関係数の高い1991年と2012年は共に3月中旬に高値を付けた後、年央の6月から8月まで下落して底値模索の展開が続きました。
過去2回の夏場以降の動きを見ると、1回目1991年の日経平均株価の動きは1991年10月に向けて戻りを試したものの、11月初旬の宮沢内閣発足時あたりから日経平均株価は下落に転じ、年末にかけてのソ連崩壊も悪材料視されて、ほぼ年末安に近い状況となりました。
一方、2回目の2012年の日経平均株価は2012年3月27日に10,255.15円の高値を付けた後、調整に転じて2012年6月4日の年初来安値8,238.96円まで下落しました。その後、円相場が1ドル=70円台の超円高の影響でデフレの進行と株価低迷が続きましたが、10月末に日銀が追加金融緩和や貸出支援基金の創設、年末の衆議院解散から政権交代が起き、アベノミクスを好感した海外投資家の買いが相場を押し上げました。
2021年後半は金融緩和政策の継続や政策減税、衆議院選挙結果、中国の「反外国制裁法」が香港やマカオにも適用となるなど悪材料が多い場合は、年末株価が1991年型のようにボトム圏で年末を迎える可能性がありそうです。
半面、年末に向けて衆議院選挙で大きな波乱がなく、大胆な減税政策、新型コロナワクチン接種の促進により経済の正常化が促進される場合は、2012年の上昇率22.94%を2020年末終値27,444.17円に加えた33,739.9円まで上げ幅を拡大する可能性が出てくる可能性があるとみています。
<文:投資情報部 高橋幸洋>