はじめに
DX施策をがっつり進められた理由は驚きの体制
SREホールディングスの清水孝治DX推進室長は、DX化を実行できた理由として、不動産仲介を祖業としながら、自社内でAI /ITの開発体制を構築できたことを指摘。
その上で、「IT部門(約70人)が制作したプロダクトを不動産部門(約70人)が実践した後、修正点を高速でフィードバックするという形でアジャイル開発を進められたことも、プロダクトのレベルを引き上げられた大きな要因です」としました。
DX銘柄2021のグランプリ受賞については、「本当の意味でのDXはまだ道半ば」と謙遜しつつも、「さらなる不動産DX化を進めていきたいと考えています」と話しました。
日立は5度目の選定
SREホールディングスと並んでグランプリに選ばれた日立製作所は、2年ぶり5度目のDX銘柄の選定となりました。今回は、先進的な技術を社内で積極的に活用し、顧客と協創した事例などをIoT戦略基盤「Lumada(ルマーダ)」として展開し、グローバルでDXを展開したことなどが評価されました。
自社事業のうち、電力や鉄道、上下水などの社会インフラの情報制御システムの開発を手がける茨城県日立市の大みか工場は1969年の操業開始以来、IoT技術やデータ分析などを活用し、開発・設計から納入後までを全体最適化する取り組みに注力。これが評価され、2020年1月に世界経済フォーラムから先進工場「Lighthouse」に選出されました。
世界の先進工場「Lighthouse」に選出された日立製作所の大みか工場/同社ニュースリリース
また、同社は、クラウド基盤上でデジタルソリューションをパッケージ化し、働き方改革や工場IoTといった分野への導入を図る「Lumada Solution Hub」や、業界を越えた多様なパートナーと相互に連携する制度「Lumada アライアンスプログラム」などを通じて、社会のDXを推進するエコシステムの構築に尽力しました。
Lumadaアライアンスプログラムのイメージ図/同社コーポレートサイト
電子署名サービスなどでリモート・非接触・自動化を推進
新型コロナに対しては、テレワークを支援するデジタル環境を社内で強化。過去2回の緊急事態宣言時(2020年4〜5月、21年1〜3月)では、75〜80%の高い在宅率を記録しました。
Microsoft Office 365ユーザー向け活用支援サービスの展開や、ハンコレス推進を目的とした「日立電子署名サービス」など、リモート・非接触・自動化を支援するデジタルソリューションの提供に傾注し、社内外を問わず、ニューノーマル時代に対応した生活様式への移行も支援しています。
日立電子署名サービスの概念図/同社ニュースリリース
同社の東原敏昭CEOは、グランプリ受賞を受けて、「日立は、長年にわたり培ってきたOT(制御・運用技術)とITの両面の業種・業務ノウハウを有することが強みです。今後もLumadaを基盤に業界を越えた多様なパートナーと協創し、社会イノベーション事業を加速させ、人々のQoL向上、顧客企業の価値向上に取り組みます」とコメントを出しています。