はじめに
夏が終わり、涼しくなってきましたが、なんとなく体の調子が……という人も多いのではないでしょうか。体調を崩しやすいのは夏バテだけではありません。夏から秋にかけての季節の変わり目も、体調の変化に見舞われやすいときです。
あるアンケート調査では、秋に健康の悩みとして「冷え」が増えることがわかっています。気温の変化もありますが、原因はそれだけはありません。もし、冷えを感じやすくなっているのなら、ぜひ原因と対策をチェックしておきましょう。今回は、大阪で内科や女性外来などの診療を行う正木クリニックの正木初美院長先生にお話を伺いました。
秋に増える不調1位 「冷え」の悩み
保険クリニックが2015年に行った「秋」についてのアンケート調査結果では、55.6%が秋に身体の不調を感じていることがわかりました。
秋に感じる身体の困り事として「冷え性」が87人、「疲労感・倦怠感」が71人、「太る」が69人、「肩こり」が67人という結果に。
確かに、夏から秋にかけての季節の変わり目は、朝晩の気温差がどんどん大きくなり、急に涼しくなって体調を崩しやすい時期でもあります。冷えを感じやすくなるのもわかりますよね。
気温が下がることだけじゃない 秋の冷えは何が原因?
秋に増える冷えの原因は、ただ単に気温が下がって肌寒くなることだけではないようです。正木先生は次のように話します。
「秋の冷えは、体温調節をつかさどる自律神経の働きが鈍ってしまうことで起きることがあります。いわゆる“秋バテ”です。
秋バテとは、自律神経が乱れて、体の不調を引き起こすこと。日中はまだ暑くても、朝晩は涼しくなってきますよね。その気温差に体が対応しきれないことに加え、肌寒くなっても冷たいものを食べ続ける、薄着のまま過ごす、シャワーだけで入浴をすませるなどの生活を続けていること、夏の暑さによる疲労やストレスを解消できていないことなどが秋バテの原因として考えられます」
秋バテを改善するための心がけ
秋になって冷えや疲れやすさを感じている人は、“秋バテ”かもしれません。正木先生は改善策として次の方法を教えます。
●夏の暑さで奪われた体力を回復させるために、栄養のバランスが整った食事をとり、胃腸の調子を整える
●体を冷やさない服装をする
●シャワーだけですまさず、ぬるめのお風呂につかるようにする
●体を適度に動かす
●睡眠不足にならないようにし、生活リズムを整えるように心がける
秋は期の変わり目でもあり、生活リズムが乱れがちになる季節でもあります。
また、秋バテ気味なら、食欲が落ちたり、元気が出ず運動不足になってしまったりしているかもしれません。でもそんなときこそ、きちんとした生活習慣に戻すことが大切だと正木先生は言います。
お風呂は入浴剤やアロマオイルでリラックスして冷え対策を
正木先生によると、中でもお風呂は、手軽にできて冷え対策にぴったりだといいます。
「炭酸ガス入りの入浴剤を活用すれば、炭酸がお湯に溶け込み、末梢の血管を拡張して血行がよくなり、冷えやだるさを楽にしてくれるのでおすすめです。
好きな香りのアロマオイルをお風呂に入れるのも、リラックスでき自律神経のバランスが整います。天然のアロマオイル(精油)には血流を促し、体を温める働きをするものもありますので、お風呂やマッサージなどに取り入れて、手や足、全身の冷えを改善していきましょう。体がポカポカ温まってくるのが感じられればさらにリラックスします」
秋から冬にかけては、年末に向けてますます忙しくなってくる時期です。万全の体調で乗り切るためにも、冷えを感じたら「秋バテ対策」を意識してみてはいかがでしょうか。