はじめに
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの業界が苦戦を強いられています。こうした状況下でも、巣ごもり消費など新常態に対応して好調を維持しているのが宅配便業界です。
足元では緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の効果に加え、ワクチン接種が進んだこともあり国内では新型コロナの新規感染者数が減少傾向にあります。一方、海外では新型コロナの変異株により感染が再拡大している国もあることから、国内ではコロナの感染対策として新常態が維持されるとみられ、宅配便業界の好調は続くと思われます。
<写真:ロイター/アフロ>
2020年度の宅配便取扱個数は前年度比2ケタ増
宅配便とは、顧客から指定された住所に荷物を発送し、対面による受取で荷物を引渡す配送方法です。配送日時の指定や代金の支払方法など、顧客のニーズにも対応しています。国土交通省が8月に公表した宅配便取扱実績によると、2020年度(4~3月)の国内の宅配便取扱個数は、前年度比11.9%増の48億3,647万個と、2ケタの伸びを記録しました。
前年度と比べた増加率は2019年度の0.4%を大幅に上回り、過去20年間で最大。また、取扱個数は6年連続で過去最多を更新し、50億個に迫る勢いです。運送方法の内訳は、トラックが同11.5%増の47億8,494万個、航空等利用は同56.8%増の5,153万個で、全体の98.9%をトラックが占めています。
宅配便が好調なのは、コロナの感染対策として外出や人との接触を極力控えたため実店舗の客足が減る一方で、在宅勤務の増加などでおうち時間が増えて、自宅からパソコン(PC)やスマートフォンを使ってインターネットに接続し、電子商取引(EC)を利用して商品を購入する人が増加したことが挙げられると思います。