はじめに
伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は、商品・サービスのベネフィットを伝えるセールス文章についてです。
ベネフィットとは商品やサービスから得られる「恩恵」
ホームページやECサイト、メールマガジン、LINE、SNSなどで何かしらのセールス文章を書くときには、「ベネフィット」による訴求を行いましょう。
ベネフィットというのは、商品やサービスの特徴ではありません。購入者が「その商品・サービスから受け取る利益や効果や効能、恩恵」のことです。平たく言うなら、購入者が受け取る“何かいいこと”です。
たとえば、企業向けのサービス「労働時間短縮プログラム」のセールス文章があったとします。あなたが、このサービスのターゲット(会社経営者)だった場合、以下のどの文章に惹かれますか。
【文章①】
この「労働時間短縮プログラム」はきちんと体系化されており、ステップ1から7まで、段階的に進めていただくことで成果が出やすくなります。内容には絶対の自信をもっています。
【文章②】
この「労働時間短縮プログラム」を導入することによって、社員一人あたりの月の残業時間を平均で15〜20時間短縮することができます。貴社の横浜支社の規模であれば、月に約150万円、年間約1800万円のコストダウンを実現できます。
【文章③】
弊社の企画開発部が総力をあげて開発したこの「労働時間短縮プログラム」が、今後、業界で注目を集めることは間違いありません。いち早く導入することをおすすめします。
おそらく、最も惹かれるのは②の文章ではないでしょうか。「社員一人あたりの月の残業時間を平均で15〜20時間短縮」「貴社の横浜支社の規模であれば、月に約150万円、年間約1800万円のコストダウンを実現」という具体的なベネフィット(=何かいいこと)が書かれているからです。
一方、①と③の文章は、会社経営者が前のめりになるベネフィットが盛り込まれていません。書かれていることは「サービスの大まかな特徴」や「自慢っぽい話」など、読む人の興味・関心からずれた話ばかりです。これでは読み手の購買意欲は高まりません。