はじめに

結論は「悪いインフレ」

企業物価指数は、企業間で取引されているモノの価格推移を見るためのものです。つまり、企業物価指数が9.7%も上昇する一方、消費者物価指数は0.9%の上昇に止まるといういびつな状況が、今の日本国内の物価です。

それだけ企業がコスト削減に努め、企業間で取引されているモノの価格上昇分を、小売価格に転嫁しないようにしているのです。「自分たちが買う分には値段が上がらないからラッキー」などと思ってはいけません。企業は小売価格への転嫁を出来るだけ抑えるためにコスト削減努力を行いますから、結果的に従業員の賃金に跳ね返ってきます。つまり給料が上がらないのです。

このまま資源価格の上昇と円安が続けば、コスト削減だけでは追いつけなくなった企業から、徐々に小売価格の引き上げを始めるでしょう。結果、給料が上がらないのに物価が上がるという、消費者にとっては非常に厳しい状況に追い込まれる恐れがあります。

つまり、今の物価上昇が良いインフレ、悪いインフレのどちらなのかというと、「悪いインフレ」ということになります。そのなかでどのような資産運用をすればよいのかを、次回考えてみます。

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