はじめに

・健康保険、厚生年金に加入できる

日本の年金制度は2階建ての制度になっており、1階部分の国民年金の他に、会社員であれば2階建て部分の厚生年金を支払うことで将来の公的年金の受給額が増え、遺族年金や障害年金も手厚くなります。

しかし、個人事業主になると1階部分の国民年金のみの加入となり、会社員と比べ年金の給付額が少なくなります。また、国民健康保険においても、健康保険では受けられた「傷病手当金(ケガや病気で働けない期間の収入の補償)」が受けられなくなるなど、社会保障の面で会社員に比べ心もとないものになります。

法人を設立すると、経営者も厚生年金、健康保険への加入が義務付けられています。個人事業主と比べて保険料の負担は増えますが、厚生年金と健康保険の保険料の半分を会社の経費で支払うことができます。

「社会保険料が高い」といわれますが、役員報酬の金額や、家族を扶養に追加することで社会保険料を抑えることもでき、場合によっては社会保険料を節約しながら個人事業主より手厚い社会保障を備えることも可能です。

・会社としての信用度がアップ

株式会社などの法人格がつくことで、しっかり事業として取り組んでいると取引先からの評価に繋がります。また、金融機関から資金調達を行う際も、会社のお金と個人のお金を分別して見える化できることで融資が有利に受けられる場合もあります。

法人化のデメリット

・税金の申告が複雑

法人の確定申告は、個人の確定申告よりも書類が多く複雑です。個人の確定申告を自分で行っているひとも、法人となると難しい場合も多いでしょう。その場合、税理士に依頼するか、会計ソフトのオプションである「申告サービス」などが必要で、その分コストが増えることがあります。

・赤字でも7万円の住民税の支払いが必要

法人の場合、赤字でも法人住民税均等割で年間7万円が必要になります。

・従業員に社会保険(厚生年金、健康保険)への加入義務が発生する場合がある

個人事業主の場合、その業種や規模により従業員への厚生年金、健康保険加入義務が発生しない事業所もあります。ただ、法人の場合は週30時間以上(会社の規模によっては20時間以上)など、一定の基準を満たした従業員は加入義務が発生します。そのため、会社の社会保険料負担が増えることがあります。

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