はじめに
大型の株式分割、デメリットは?
しかし、デメリットとして発行済み株式数が現在の約36億株に対し、分割後は約900億株となります。現在、発行済み株式数トップのトヨタ自動車は約163億株です。NTTはトヨタの5.5倍の発行済み株式数となります。
株価は160円となりますが、流動性は乏しくなる可能性があります。心配された株主優待に関しては、7月1日(土)の株主分割以降も変更がないと会社から開示が行われました。株主優待の内容は以下になります。
基準日時点で、100株以上保有し、以下の保有期間の株主
・2年以上3年未満(株主名簿登録日が2020年4月1日~2021年3月31日に該当する株主):1,500ポイント
・5年以上6年未満(株主名簿登録日が2017年4月1日~2018年3月31日に該当する株主):3,000ポイント
但し、株主へ毎年進呈するものではありません
現在、2023年3月31日基準の株主に対し、dポイントを進呈する株主優待があります。しかし今後、分割によって付与ポイントや対象となる条件の変更のほか、発行済み株式数が日本最大の企業となるだけに、今後株主優待の廃止の可能性もありそうです。
昨年、岸田首相は骨太の改革の中で「資産所得倍増プラン」を掲げ、その実現手段としてNISAやiDeCoの拡充・改革を挙げています。しかし、NISAなどで購入する商品が米国のS&P 500や全米株式インデックスなど海外に流入しているとの報道もあり、今回のNTTのような大型分割が他の企業へと波及し、投資単位の引き下げする事で日本企業への投資を促す狙いもありそうです。
ふと思い出したのが、1987年のNTT株上場です。私が証券会社に入社する1年前に上場した同社株が初値160万円を付け、数ヵ月後に318万円まで株価が高騰し、個人の株式投資ブームが広がったと言われています。数年後にはバブル崩壊し、NTT株が塩漬けになった個人投資家も多くいたと聞きました。同じ過ちとならない事を祈るばかりです。
株式分割のメリット、デメリットはありそうですが、NTTの今後の株価には注目したいところです。なお、株式分割のメリット・デメリットなどは2022年6月20日(月)の記事を参照にして頂ければ幸いです。