はじめに

AIBOに販売中止命令が出た経緯

おもちゃ会社から販売されるライバルのペットロボットは主に1万円前後。

それに対してソニーのAIBOは発売当初の25万円からは徐々に値下がり10万円台後半にはなりましたが、価格では明らかに分が悪い。

「では、性能は?」というと、安価になったマイコンによってそれらしい動きをするおもちゃのペットロボットは、おもちゃという意味ではなかなかうまくできていました。

当時は子供がいる多くの家庭がおもちゃメーカーのペットロボットを買って、子供が大喜びし、やがてそれらが壊れて捨てられていくという購買体験をしました。

もちろんおもちゃと比べると、AIBOはロボットとしての機構も搭載されている人工知能やカメラの性能も、研究者から見ると段違いでしたが、2000年当初の消費者にとっては、おもちゃと大差なかったのです。

これがAIBOの悲劇。徐々に市場での価格競争力をなくし、2004年ソニーの経営会議で撤退命令が出され、世の中から消えていくことになりました。

新しい「aibo」にかかる2つの期待

さて、2018年に復活するaiboには2つの大きな期待がかかります。

ひとつは人工知能の進化です。初代AIBOはあくまでも“ペットらしい振る舞い”しかできないロボットでした。現在の人工知能には学習能力が備わっています。

過去10年で人工知能が大きく進化したことを考えると、新しいペットロボットは過去の商品とは比べものにならないほど現実のペットに近づく可能性があるわけです。

実際に新型aiboはクラウド経由でほかのaiboと学習結果を共有し、ペットとしての振る舞いを進化させていくということが発表されています。

つまりはじめて出会った日以降、日増しにペットとして可愛くなっていく。購入時の初期設定から、さらに進化する商品なのです。

そしてもうひとつ期待されること――これは主に投資家からではありますが――、この進化する機能のためにはクラウドにつなげる必要があり、月2,980円の費用がかかるという点です。

もしペットを飼うと仮定すれば、維持費としてペットフード、おむつ、病院代など、一定のコストがかかります。ペットロボットもそれと同じで、お店で買って「おしまい」ではなく、毎月、育てるためのコストがかかるのが当然ということにしたいとソニーは考えているようです。

これは経営の世界でいう「リカーリング型ビジネスモデル(Recurring:購入後も継続的に収益が上がる構造)」を目指しているということでもあります。

そうなれば商品としての収益性は家電よりもスマホに近いかたちとなり、ソニーの業績がさらにプラスになる効果が期待できます。

来年、新しく登場する新型aiboは果たしてこの2つの期待を叶えてくれる商品となるのでしょうか? 今回も初回分の予約は開始約30分で完売。今から発売が楽しみです。

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