はじめに
Q3:2023年末までに現行NISAで投資した分の扱いはどうなりますか?
A3:新NISAとは別の投資枠で保有が継続できます。ただし、現行NISAの非課税期間は無期限にはなりませんので、現行のルールの非課税期間の保有となります。
現行NISAの投資資産は、統合NISAの生涯投資枠1800万円とは別に保有できます。ただし、現行NISAの非課税保有期間は無期限とはなりません。一般NISAの非課税保有期間は5年、つみたてNISAの非課税保有期間は20年です。たとえば、2023年につみたてNISAで投資した分は、2042年まで非課税で保有することができます。
Q4:課税口座(特定口座または一般口座)の資産は売却しておいた方が良いですか?
A4:資産の状況に応じて2023年のうちに売却しても良いでしょう。売却しない方が良いケースもあります。
現行NISAを既に活用していて、かつ課税口座(特定口座または一般口座)の資産がある方もいるでしょう。課税口座で得られた利益に対しては20.315%の税金がかかります。また、課税口座の資産をNISA口座に移す(移管する)制度もありません。
新NISAの投資枠は大幅に拡大され、非課税期間が無期限になったので、課税口座の資産を売却して、新NISAで買い直すことはぜひ検討しましょう。今ある資産をどうするのがいいか、指針を考えてみました。
●「利益が出ている」「プラスマイナスゼロ」「少し損を抱えている」資産
該当の資産がある場合は、2023年のうちに売却して、その資金を新NISAに回すのが良いでしょう。少し損を抱えている程度であれば、潔く損切りして、他の有望な投資先に投資しするのもいいでしょう。
●「比較的大きな損を抱えている」資産
仮に、好業績なのに下がっている株式ならば、そのまま課税口座で回復を待ってから売却がいいかもしれません。一時的に値下がりしていても、好業績であれば回復が見込めます。業績も悪く市場全体も下落など回復の見込みが薄いならば、思い切って損切りしましょう。そのまま塩漬けにしていても、ずるずるとお金が増えない状況や機会損失(他の投資先に投資していれば増えていたであろう投資機会の逸失)が続くだけです。
●「株主優待目的で保有している」株
株主優待のなかには、長期保有することによって株主優待の特典が増えたり、よりグレードの高いものがもらえたりすることがあります。こうした銘柄を売却して新NISAで買い直すと、長期保有の記録がリセットされ、株主優待の上乗せがなくなってしまいます。
Q5:現行NISAの非課税期間終了後は課税口座へ移管。課税されるのはどのタイミング?
A5:「課税口座へ移行する際の価格」から上昇した分に課税されます。
現行NISAの非課税保有期間が終わっても資産を売却しない場合、資産は課税口座に自動的に移され、運用を続けることになります。一般NISA・つみたてNISAでの運用で含み益があった場合、この含み益には移管後も課税はされません。なぜなら、課税口座に移すときの資産額が新たな取得価格となるからです。
たとえば、つみたてNISAを利用して40万円で買った投資信託が20年後に100万円になっていたとします。この投資信託を課税口座に移すとき、新たな取得価格は「100万円」となります。そのため、仮に100万円のまま売却した場合には、利益はゼロとされるので、課税されません。
Q6. 新NISA開始で金融機関選びのポイントは変わりますか?
A6. 新NISAのつみたて投資枠のみを利用するのであれば、金融機関選びも現行のつみたてNISAと同じ考えでOK。成長投資枠も活用するならばポイントが変わります。
統合NISAのつみたて投資枠のみを利用するのであれば、「積立の頻度が細かく設定できるか」「少額から積立ができるか」「投資できる商品の数が多いか」「信託報酬の安い商品が揃っているか」「クレカ投資のポイント還元率」「ポイントの種類、経済圏」「サイトやアプリの使いやすさ・サービスの充実度はどうか」という観点で選ぶのが大切です。
新NISAの成長投資枠でETF・株に投資をしたいのであれば、特に米国株・米国ETFの取り扱いが多い金融機関を選ぶのが良いでしょう。国内株であれば、どの証券会社でも大差ありませんが、米国ETF・米国株の商品数は証券会社によって大きく異なるからです。
米国株・米国ETFの商品数の観点でいうと、SBI証券、楽天証券、マネックス証券が有力。また、クレカ投資でポイントがもらえるサービスも整っています。自分がよく利用しているサービス・経済圏に合わせて選ぶのがいいでしょう。
なお、現行NISAの口座を開設している人は、2024年になった時点で同じ金融機関にて、統合NISAの口座が自動開設される予定です。NISAを利用する金融機関は変更可能ですが、2023年に現行NISAで商品の買付を行っている人は、2023年中の金融機関の変更ができません。2024年から金融機関を変更したい場合、2023年10月から手続きできるようになります。
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著者:頼藤太希/高山一恵
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