はじめに
30代を迎えると昇進・転職、結婚、出産など、様々なライフイベントに直面するひとが多いはずです。この時期は「お金」にしっかりと向き合うタイミングでもあります。「貯蓄もしているし、余剰資金でNISAやiDeCoもばっちりです！」なんてひともいれば、「資産運用をまったくしていない…」「貯金がない…」「借金があります！」など状況はひとそれぞれ。
本連載「30代から始める、まったく0から貯金し投資ができるまでの道」では、主人公の金前すすむさんの家計改善から貯金、そして投資までを、お金のプロのアドバイスを基に進めていく企画です。
前回、「妻には知られていない借金」を完済した金前すすむさん。老後の不安を感じ、投資を始めたいと意気込みますが、貯金はゼロ。家計管理もまったくできていないようですが、はたして投資を始められるのでしょうか？
前回の記事：35歳会社員「妻に秘密の借金、子どもが生まれる前に返済したい」FPの回答は？
金前 すすむ
35歳で ITベンチャー企業の営業課長。元々よしおさんと同じ会社で働いていた。仕事はできるが金遣いは荒い。最近結婚、半年後に第一子が誕生。
FPよしおさん
46歳のファイナンシャルプランナー、元マネーフォワードMEの事業責任者。様々な会社で上場を経験し、個人投資家としても活動している。
いざ投資！ …でもその前に？
金前 すすむ：よしおさんのおかげで借金が返済できたので、次は投資にチャレンジしたいです！ 最近テレビでも老後の年金が少なくなっていると聞きまして…早く投資して、老後資金をつくっていきたいです。
FPよしおさん：投資ですか。でも金前君は、前回奥さんにバレずに借金を返済する方法を実践したばかりだから、まだぜんぜん貯金もないよね？
金前 すすむ：はい…お恥ずかしながら。貯金はほぼゼロです…。でも、貯金だけするのってなんだか面白みがないですよね。年金も期待できないって聞きますし、老後にむけた資産形成が必要な気がするので、なんだか焦っちゃいます。
FPよしおさん：焦らない焦らない。投資をするのは良いけれど、まずは家計をしっかりと黒字化して安定させることが大事。貯金がしっかり貯まって、余剰資金が生まれたら投資を開始すると良いよ。急な出費や病気、ケガなどで働けなくなった場合の生活防衛費として最低3ヶ月分の現金はもっておこう。その後は、できれば6ヶ月分の生活費は現金はもっておきたいので、貯金と投資を併用して少しずつ貯めていけば良いね。
金前 すすむ：そうなんですね。では何から始めればよいでしょうか？
FPよしおさん：まず金前くんは、自分の家計のことを知ることが大切。一足飛びに投資はできないので、まずは基本を整えていきましょう。お金の基本中の基本は、自分が何にいくらお金をつかっているかを把握すること。金前くんは、先月はいくら使ったかわかる？
金前 すすむ：え、先月ですか？あれ、いくら使ったんだろう…。
FPよしおさん：自分が「何に」「いくら」使ったかがわからないということは、家計をまったくコントロールできていないということだね。言い換えれば、目を瞑りながら車を運転しているようなもの。まずは家計簿をつけることが大事だよ。
金前 すすむ：家計簿ですか。昔節約しようと思って紙の家計簿をつけてみたことがあったのですが、文字通り三日坊主で終わってしまいました…。わからない支出がでたり、財布の金額と合わなくなるととたんにモチベーションが下がったのを覚えています…。
FPよしおさん：実を言うと、私も手書きの家計簿は三日坊主で続けられなかったんだよね。そこでオススメなのが、家計簿アプリ。クレジットカードや銀行口座を連携することで自動で家計簿をつけてくれるマネーフォワードMEなどのアプリがあるから自分が使いやすいものを使ってみるといいよ。
金前 すすむ：家計簿アプリはたしかに便利そうですね。でも、クレジットカードを連携したり、銀行のIDとかパスワードを登録するのは怖いです…。
FPよしおさん：たしかに初めて家計簿アプリに銀行のIDやパスワードを入れるのは怖いよね。ただ、大抵の家計簿アプリは「銀行やクレジットカードのWEB明細」をみるためのパスワードしかいれないから不正送金されたりする心配はないよ。送金や決済に必要な二次パスワードは登録する必要がないから安全なんだ。
金前 すすむ：でも、アプリを運営している人が、私がいくらもっているかがわかってしまうのも怖いです。
FPよしおさん：たしかに、いくら資産をもっているか人に知られたら嫌だよね。だから大抵の家計簿アプリは本名や住所、電話番号などの個人情報は登録しないことがほとんどなんだ。唯一必要な個人情報はメールアドレスくらい。これなら「誰が」使っているかはわからないから安心して良いと思うよ。
金前 すすむ：なるほど。だったら人に知られる心配はなさそうですね。やってみます！