はじめに
ゼロ金利解除で住宅ローンの金利も上昇か
では、ゼロ金利が解除されると、どんなことが起こり得るでしょうか。まず、円高の進行と株式相場の下落、長期・短期含めた金利の上昇が考えられます。実際に、過去の植田総裁がゼロ金利解除に前向きな発言をしたケースでは、「円の急騰」、「株式相場の(一時的な)下落」、長期金利の指標となる「10年物国債の利回りの急騰」が起こった経緯があります。
住宅ローン金利等の推移
画像:国土交通省「(5)住宅ローン金利等の推移」
金利が上昇すれば、住宅ローンの金利は確実に上昇するはず。基本的に、住宅ローンについては固定金利が長期金利、変動金利は短期金利に連動する傾向が見受けられます。すでに、これまでの長期金利の上昇を受けて固定金利はジワジワと上昇中。ゼロ金利が解除されれば、政策金利の影響を受けやすい変動金利も上昇に転じる公算が大きいでしょう。日銀がこの先も利上げを続けるとするなら、住宅ローンの変動金利での新規契約や借り換えを考えている人は、一旦考え直したほうがいいかもしれません。
また、経営者にとってもゼロ金利解除の影響を大きく受ける可能性があります。銀行融資の金利も、上昇する可能性が高いからです。2023年の株式市場では、この先の金利上昇を見越して銀行株が買われる局面がありました。事業を営む人にとっては、資金調達の環境がこれまでよりも厳しくなることを考えておく必要がありそうです。