はじめに

児童扶養手当を貯蓄に回そう

ここまで見てきたように、ひとり親世帯だけでなく、家庭の経済状況によって、子どもが進学できるチャンスが失われないような制度が、従来に比べれば整ってきていると言えます。とはいえまだまだ充分ではありません。

相談者の家計を拝見すると、毎月の支出は、ほぼ固定費用と思われます。これ以上節約して家族の健康を維持できなければ本末転倒です。児童扶養手当を受給していれば、それを貯蓄や緊急時の支出に充てるといいでしょう。インターネット・携帯電話代の部分で格安な事業者やプランに変更すると、少しでも費用を節約できる可能性がありそうです。

子どもの成長とともに今後支出は増える一方ですね。すぐにではなくても収入アップのために情報収集をしておきましょう。

ステップアップや資格取得のための支援を活用

2023年に新設された、こども家庭庁では「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」として、ひとり親の就労のステップアップや資格取得のための支援を実施しています(制度を設けている自治体のみ)。

具体的には「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金等事業」で、いずれも児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあることが対象の条件です。

収入が増えると児童扶養手当が減額になりますが、現在の仕事を続けながら、講座を受講したりして、ステップアップを目指しましょう。将来を見据えれば児童扶養手当を当てにせず、収入を増やすことが望ましいと思います。

離婚後は契約者を自分に変更!

なお、離婚に伴い、子どもの学資保険や携帯電話の契約者が元夫になっていないかを確認しておきましょう。例えば、学資保険の保険料を元夫に支払ってもらう約束だとしても、契約者を元夫のままにしておくと、満期時に保険金を受け取るために元夫に連絡しなければならず、余計な手間がかかったり、将来勝手に解約されて解約返戻金を受け取られてしまったりということも起こり得ます。携帯電話も家族割などのために家族分すべて元夫名義になっていないでしょうか。その場合、今後プラン変更や解約の手続きの都度元夫に連絡しなければならなくなってしまいます。契約内容の変更や解約は契約者しかできないのが原則です。今のうちに自分に変更しておきましょう。

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