はじめに

iDeCoの加入可能年齢引き上げは限定的

いずれにしても、iDeCoの加入可能年齢が一律65歳ではないことを考えると70歳まで引き上げを検討しているという報道は、対象者が限定されるので、実現するにはもう少し深い議論が必要になると思われます。

また、掛金の上限額引き上げについても、現状の金額がやはり公的年金の状況により異なっていることを考えるとそう簡単ではないことが想像されます。例えば、第1号被保険者のiDeCoの掛金上限は月68,000円と企業年金がない会社にお勤めの会社員つまり第2号被保険者の月23,000円と比べて、圧倒的に大きい金額を拠出することができます。

掛金は全額所得控除の対象となることを考えると第1号被保険者優遇とも受け取れるのですが、実際第1号被保険者は厚生年金に加入できず、一方第2号被保険者が加入する厚生年金保険料も全額所得控除であることを考えると、厚生年金という上乗せがない第1号被保険者にとってiDeCoは公的年金が少ない分を自らが上乗せする制度とも考えられるのです。

さらに、第2号被保険者についても、企業年金があるのかないのか、あるいは企業年金が企業型確定拠出年金(DC)なのか、確定給付企業年金(DB)なのか、はたまた両方なのかなどによって,iDeCoに加入できるかどうか、また加入した際の掛金上限額も複雑です。しかしここについては、一定の解が2024年12月以降から導入されます。

それが、企業年金のある会社員は、iDeCo上限月20,000円というルールです。ただし、会社が企業型確定拠出年金(DC)のみあるいは確定給付企業年金(DB)のみの場合は、それぞれとiDeCoの合計が55,000円までという条件がつきます。またDCもDBもある場合は、iDeCoも合算して55,000円までとなります。

今回の報道で述べられているような掛金上限額の引き上げも、ベースがかなり複雑な構造になっていることもあり、さらに踏み込んだ審議が必要なのではないかと考えます。

いずれにしても、国は税制優遇の資産形成制度を拡大の方向で考えているということは、ある意味で警告と捉えても良いのではないかと考えています。しかし、その警告を真摯に受け止めるのか、聞き流すのか、国が準備した制度を活用するかどうかは国民次第。それぞれが自分の将来をどう生きるのか、しっかり考えなければいけない時代なのだということです。

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