はじめに

児童扶養手当が停止になると家計はどうなる?

児童扶養手当とは、ひとり親家庭の生活の安定と自立を助け、子どもの健やかな育成のために支給される手当です。児童手当と名称が似ていますが、それとは別の国の制度になります。

児童扶養手当は、子どもが「18歳に達する日以降の最初の3月31日まで」受け取ることができますが、所得制限が設けられています。申請者もしくは扶養義務者等の前年の所得が次の表の限度額以上の場合、手当の全部または一部が支給停止となります。

相談者の扶養親族は、子ども2人です。昨年の所得が268万円を超えたため、児童扶養手当は全額が支給停止となる見込みです。児童扶養手当が全額支給停止となると、単純に今後の手当が受け取れなくなるだけでなく、それに付随した各種支援も停止となるため注意が必要です。

相談者は、これまで学費や給食費などに対しての各種就学援助、医療費の助成などを受けていました。今後、児童扶養手当が全額停止となることにより、こういった公的支援も受けられなくなります。そのため、収入の減少に加え、支出の増加にも備える必要があります。

教育費は進路変更にも備える

教育費については、子ども2人の大学費用を奨学金を利用せずに準備してあげたいという相談者の希望があります。現在はまだ、お子さんの進路は決まっていないため、中学校・高校は公立、大学は息子さんが4年制の私立理系大学、娘さんが4年生の私立文系大学に進むと仮定して、試算を行いました。また、住まいは首都圏ですので、大学卒業まで自宅から通う前提です。

相談者は学資保険に加入しているため、大学の入学金と初年度納入金は学資保険の満期保険金でまかなうことが可能です。しかし、2人とも大学に入学する2030年以降の年間収支は赤字となり、預貯金を取り崩す必要が出てきます。

幸い、相談者はこれまでボーナスをほとんど貯蓄に当てており、お子さんが大学に入学するまでは、今後も年間100万円以上貯蓄にまわすことができる見込みです。このペースで貯蓄ができていれば、2人とも奨学金に頼ることなく大学を卒業することができるでしょう。

しかし、今後の進路がまだはっきりしていないため、たとえばお子さんが医歯系といった高額な学費が必要な大学進学を希望したり、自宅外通学を希望したりすることも考えられます。また、浪人や留年をした場合も教育費が試算よりも多く必要になります。

あまりネガティブなことを考えすぎるのもよくありませんが、想定外の事態が発生することをある程度見込んでおくと、いざというときの安心につながります。どこまでの金額を親が準備するのか、万が一それ以上となった場合には奨学金を利用するのかもあらかじめ決めておくようお伝えしました。

また、公的な支援制度が利用できなくても、ひとり親が要件のひとつとなっている民間団体の給付型奨学金もあります。例えば、「公益財団法人 明光教育研究所」「キーエンス財団」などがあげられます。現在どちらも募集は終了していますが、日頃から情報収集しておき活用できる制度はぜひ上手に利用しましょう。悩んだときには、学校の担当窓口などで相談してみることをおすすめします。

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