はじめに

投資初心者にとって適正な投資割合とは?

Aさんは投資原則をきちんと理解した上で、夢を現実にするために、NISAでつみたて投資を始めることに決めました。

まずは、堅実な貯金の割合を大きくしたいというAさんの希望で、現状の毎月の貯金額10万円のうち、4万円を投資にまわすことにしてシミュレーションを行いました。毎月4万円を年利3%で積み立てると、80歳でAさんの資産は-1万円となることがわかりました。貯蓄のみの場合に比べると、資産を長くもたせることができるものの、老後の生活費は足りないままです。

では、Aさんの夢であるカナダでの長期滞在と老後資金の両方を確保するためには、どれくらいの投資が適切といえるのでしょうか。投資の割合を多くし、貯蓄を4割、投資を6割とすると、86歳で-8万円となり、85歳まで老後資金を保つことができるようになります。しかし、日本人女性の平均寿命が87.14歳であることを考慮すると、もう少し資金を確保しておきたいところです。投資割合を8割とぐっと大きくし、毎月8万円を投資すると、89歳まではプラスの状態で老後の生活を送ることができるシミュレーションとなりました。

貯金と投資の割合を決めるには、お金を貯める目的、必要な時期と額が重要です。Aさんの場合、15年の期間があるため、投資の割合を大きくして資産を増やすことに重点を置くようご提案しました。積極的な投資でたとえ損失が出たとしても、期間に余裕があることで運用の見直しを検討することもできます。

また、余力がある資産状況かどうかも大きなポイントです。Aさんには現時点で1,000万円の資産があり、資産のすべてを預貯金で保有しています。いざという時に備えて生活費の一年分以上の額をすでに確保できていること、1~2年以内の近い将来に使う予定のあるお金を準備できていることからも、積極的な運用を行うことが可能です。

夢の実現のためにまずは投資を始めてみる

夢や目標がある場合、必要な資金を準備するためには、現状を把握し、ゴールに到達できる具体的な資産運用が必要です。今回の相談者であるAさんと同じように、投資に対して不安を抱いている方もいらっしゃるかと思います。しかし、投資の基本原則を正しく理解すれば、リスクを抑えて安定した運用を行うことができます。

Aさんは、ご自身の心理的負担が少ない月4万円から投資を始めることになりました。慣れてきたら、段階的に投資額を増やしていく予定です。最初は少額でも、まずは始めることが大切です。ただし、夢実現の確率を高めるためには、実際に必要な投資額を常に意識しておく必要があります。そして、なるべく早くその投資額に近づけることで、夢が叶う可能性は高くなります。今回の相談をきっかけにAさんは夢の実現に向けて動き始めました。大きな一歩を踏み出した彼女を、FPとしてこれからも全力でサポートしたいと考えています。

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