はじめに

PS4を前提としたソニーが緒戦は圧倒的優位にある

なぜソニーが有利なのか? それはVR本体が他社の半額程度だというだけの理由ではありません。

実は、VRを楽しむためにはコンピュータの本体が必要ですが、HTCやオキュラスの場合はその処理をパソコンで行うことになります。ところがVRのような高速で大量の画像処理を行うことを想定した場合、パソコンとしてはかなり高性能の処理能力を持ったハードが必要なため、多くの消費者の場合、パソコンも一緒に買い替える必要が出てきてしまうのです。

一方、ソニーインタラクティブエンタテインメントの場合、最初からゲーム機のPS4に接続させる前提で機器を開発しています。既に世界中に一定数が普及しているハードであり、新規で購入する人にとってもハードの価格は4万円前後で済んでしまうというわけ。

さらにVRを前提にしたゲームソフトは年内に50本も投入される予定です。PS4がそもそもそれだけのゲーム会社とこれまで取引関係を持っている関係で、ソフトのラインアップで他社を圧倒するのもソニー有利な要因なのです。

VRの先はゲームよりも広い世界につながっている

VRの緒戦でソニーがFacebookやHTCに勝利した後にはどのような世界が待っているのだろうか?

実はVRという次世代のインターネットプラットフォーム上でソニーが圧倒的な強者になる可能性が開かれるようになることが予想されます。

一例を挙げてみましょう。今、オンライン書店の世界ではAmazonが圧倒的な強者ですが、VRの世界でソニーがAmazonを倒しにいけるようになるかもしれません。

想像してみてください。ゴーグル型のディスプレイをかぶった瞬間に、そこが書店になる世界を。しかもそれは世の中にある書店と違い、物凄い数の書籍が並ぶ場所で、かつ、あなたの興味を持つ本ばかりが置かれている世界ですーー。

そこを巡りながら新刊を見つけ、雑誌をめくり、または昔買い忘れた古い素敵な本に再び出会うことができる仮想書店。そのインターフェイスが優れていれば優れているほど、同じサービスを提供するアマゾンよりもソニーの仮想書店の方があなたにとっては素敵な世界になるかもしれません。

VRの適用領域はさらに広がっていく

VRでは同様に、LINEやFacebookを超えるVRのソーシャルネットワークが実現するかもしれません。

そしてVRのソーシャルゲームの世界でも、ガンホーやmixiを超えてソニーが先行するようになるかもしれません。

そう考えていくと今、インターネットで成功しているすべての企業はソニーと戦うことになる可能性もあるわけです。そしてITの世界で先行している世界の強豪企業と対抗しうる、初めての日本企業が誕生することになり、最終的には、ソニーが未来のインターネットの覇権を握るときがやってくるかもしれないと思うのです。

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