はじめに
株主優待を1度も実施することなく廃止した企業
ここまで紹介したとおり、次々と株主優待が新設されたり、より良く変更されていたりしますが、株主優待で前代未聞の出来事が起こったので紹介したいと思います。
不動産テック企業の REVOLUTION(旧原弘産)は2024年10月に株主優待の新設を発表しました。その内容は、2024年10月31日基準、及び25年4月30日基準の株主名簿に連続して2000株以上保有している株主を対象として、QUOカードPayを半期毎に6万円分、通期換算では12万円分を贈呈するというもの。しかし、株主優待を1度も実施することなく廃止を決定しました。
初回株主優待進呈のための確保済み財源1.8億円に対して、2025年1月末時点の当社の優待対象株主の最大数は9930名となり、本優待に必要な原資は最大で年間11.9億円と確保した財源を大きく超えたことが要因としています。
私は30年以上この業界にいますが1度も優待を実施せずに廃止したことは、聞いたことがありません。
また、2月にはセグエグループが、2024年12月期に導入を決定した株主優待を変更すると発表しています。その内容は、毎年3月末日および9月末日時点で1000株以上を保有する株主に対し、各期ごとに15000円分、年間合計で30000円分のQUOカードを贈呈するとしていた優待を、2025年12月期以降は株主優待の基準日を12月末に変更し、贈呈するQUOカードの金額を10000円に変更するというものです。
変更理由として、株主名簿管理の効率化・費用低減の観点からとしています。なお、両社ともに株主優待を発表直後には株価が急上昇しました。セグエグループは、これら一連のことにより2024年12月時点でプライム市場の上場維持基準を満たしたとしています。
何度か、マネープラスの寄稿記事の中で、現状はお得に見える優待内容(高額なQUOカードなど)でも突然の廃止や内容が目減りするようなニュースには常に気を配っておくようにしましょうと注意喚起を行ってきました。それが、現実に起こってしまい残念な気持ちでいっぱいです。
今後も同様に廃止や目減りの発表は出てくると思います。企業の自己資本比率や現金比率などは必ずチェックしましょう。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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