「台風19号」関連銘柄に投資することの倫理的・経済的意味を考える
災害時の株取引を擁護することは詭弁か
先月は台風19号が日本各地に大きな被害をもたらしました。被害にあわれた方々には、心からお見舞い申し上げます。台風19号が過ぎた翌週の株式市場では、さっそく「台風19号関連銘柄」の物色が始まりました。建機レンタルのカナモト(証券コード:9678)や、列車の部品を製造する東洋電機製造(6505)といった銘柄が値上がりしたのです。このような銘柄の紹介は、被災地への配慮そっちのけで、災害を利用して金儲けをしようと受け取られる可能性もあり、批判の対象となることが多々あります。特に今回のように甚大な被害をもたらした台風を手がかりに株取引をしていると、「災害に乗じて利益を上げるとは、けしからん」と非難する人も少なくなさそうです。それでは、台風のような自然災害を手がかりにして株取引をすることは、はたして本当に問題がある行動なのでしょうか。筆者は自然災害時に株取引を自粛することによって、かえって経済がマヒしたり、復興が遅れたりするリスクがあるのではないかと考えます。
住宅ローン減税中は、繰上げ返済用の資金を運用してもいい?
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、7年後の住宅ローン減税が終わるタイミングで繰上げ返済を考えている46歳の男性。それまでの間、繰上げ返済の資金を運用すべきか悩んでいるといいます。FPの横田健一氏がお答えします。家を建てて3年が経ちました。7年後に住宅ローン減税が切れるタイミングで繰上げ返済を考えています。プラン通りいけば、繰上げ返済までに必要なお金は貯まる予定ですが、数千万のお金を銀行に預けたままでいいものでしょうか。元本保証を前提に運用すべきかどうか、運用するのであればどのジャンルに投資すべきかを教えてほしいです。また現金で持つ場合、リスク管理の観点で複数の銀行に分けるべきでしょうか。妻は12月に第二子を出産する予定のため、間もなく産休に入ります。育休は約2年とる予定です。夫が単身赴任した場合、妻は一度退職し、ある程度子供が大きくなったらフルタイムで復職というプランも考えています。〈相談者プロフィール〉・男性、46歳、既婚(妻:42歳、公務員)・子ども1人:4歳・職業:会社員
きっかけはオンラインゲーム、慎重型30代女性が株でプラス15%を稼ぐまで
コミュニティで出会った大富豪投資家から学んだ
株式投資を始めようと思っても、まず何からしたらよいかわからない――。どんな著名な投資家も最初は初心者でした。投資を始めたばかりの人は、どのように失敗をしながら学んでいくのでしょうか。試行錯誤を繰り返しながら自分の投資スタイルを確立しつつある、投資歴1年半のあやさん(女性・30代)のケースを紹介します。
投資用マンションのローン返済のために、運用で貯蓄を増やしたい
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、投資用ワンルームマンションを購入した52歳の女性。家賃収入でローン返済をしつつ退職金で一括返済する予定ですが、その間に運用で貯蓄を増やしたいといいます。FPの伊藤亮太氏がお答えします。老後の備えとして、私名義でワンルームマンションを購入しました。その部屋を貸し出して、家賃収入でローンを支払う予定です。定年(62歳)までは繰り上げ返済せず、私の退職金(2000万円ほど)で一括返済する予定です。ただ、退職金はなるべく残したいので、それまでの貯蓄の増やし方を教えていただきたいです。特に、52歳からiDeCoやつみたてNISAなどを始める場合、どんなメリット、デメリットがあるのか知りたいです。夫と会計を別にしているので、詳細が分からないところが多いです。〈相談者プロフィール〉・女性、52歳、既婚(夫:59歳、会社員)・子供2人:26歳、24歳(学生)・職業:会社員・居住形態:持ち家(戸建て)・毎月の世帯の手取り金額:60万円(夫27万円、妻33万円)※
本当に債券市場はバブルなのか
投資の目的に立ち返って判断する
債券とは、国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行するものです。このうち、国が発行するものを「国債」と呼びます。そんな主要先進国の長期国債の利回りが、長期的に低下(債券価格は上昇)を続けています。中には、足元で金利がマイナスにまで低下しているものもあります。こうした事態を10年前に誰が想像できたでしょうか。このような現状を「債券バブル」ととらえる向きもありますが、本当にそうなのでしょうか。今回は、足元の債券市場がバブルとは言い切れない側面を考えてみます。
10年で1000万円貯める方法は?実際に貯めるために具体的にやるべきこと
長期でコツコツ継続させる1000万円計画
2019年6月に出された金融庁の報告書によれば、「夫65歳以上と妻60歳以上の夫婦無職世帯では、毎月の家計の不足額平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる」とあります。ここの部分だけにフォーカスされ、「老後資金として公的年金だけでは2000万円足りない」というフレーズはみなさんが目にしてきた通りです。ただ、この2000万円という数字が一人歩きして、報告書をしっかり読んだ方は非常に少ないのではないでしょうか。報告書の内容そのものは至極まっとうなことが書かれています。そして「公的年金だけでは2000万円以上不足する」という話は、ずいぶん前から相談の場、取材、講演、記事などでお話ししてきたことです。大事なことは、公的年金があるから、私たちが自助努力で準備する老後資金は2000万円程度で済むということ。公的年金がなければ、1億円前後は用意しなければならないのです。本題に戻りますが、2000万円を自分で用意するにはどうしたらいいのでしょうか。今回は、少し金額のハードルを下げ、10年で1000万円を貯める方法について考えて
12年ぶり高値更新、「REIT」に投資することの意味を考える
不動産株を買うのと何が違う?
東証REIT指数が約12年ぶりの高値を更新するなど、活況を呈しているREIT(不動産投資信託)市場。報道などで目にする機会も増え、関心を寄せている人も少なくないのではないでしょうか。かつて貴族が農地を貸して地代を得ていたように、不動産投資の歴史はとても長く、経済学者トマ・ピケティ氏の著書でも、資産を持つ者にとって、リターンを獲得する手段として重要だったことを示しています。そこで今回は、個人投資家でも小口で気軽に不動産投資ができる「REIT」について考えてみます。
株式投資に興味を持ったさまざまな理由、経済アナリストの著者の場合
キッカケは思わぬところにある
老後資金2,000万円問題をキッカケとして、証券会社の口座開設数が増えたり、金融機関のセミナーに参加する人が増えているそうです。なかなか金融教育を受ける機会がなく、資産運用と接点を持つ機会も少ない日本人が投資に興味を持つキッカケになったことは確かです。では、今回の問題より前に投資に興味を持った個人投資家はどのようなキッカケだったのでしょうか。筆者の場合とキッカケになりうるいくつかの事例を紹介しましょう。
家と車に大金を費やしたら、子ども4人の教育費が足りるか不安に
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、共働きでコツコツと貯蓄を増やしてきた40代夫婦。ここ最近、立て続けに住宅や車の購入に大金を費やしてしまい、この先お金が足りるのか不安になってきたといいます。家計再生コンサルタント横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。結婚してからの18年間、産休や育休の期間以外はずっと正社員として働いてきました。収入が2人分あるにもかかわらず節約を意識し切り詰めて、お金をかなり貯めてきました。この度気に入った物件があったことと、子どもも中2、中1、小4、小2と大きくなり、生活も落ち着いてきたため、4000万円程のマンションを購入しました。頭金に2000万円を入れ、残りは住宅ローンを組んでいます。そのほか、500万円ほどの車を現金一括で購入したりして、今の貯蓄の残りは2000万円ほどです。その時は「がんばって貯めてきたし」「すごくほしいと思えたから」と、いろいろ理由をつけて購入しましたが、お金を払った後となる今、子どものお金が足りるのかと不安に
秋が深まると株式投資を始めるのに適している、たった1つの理由
過去10年の実績から導き出すと…
皆さんは「アノマリー」という言葉を聞いたことがありますか。投資の世界では「理屈や理論では説明できないが、経験的に観察される規則性」のことを指しています。たとえば「2日新甫(しんぽ)は荒れやすい」という相場格言があります。これは1日が土日や祝日などで取引がなく、2日から取引が始まる月の相場は大きな値動きになりやすいということを指しています。当然、理論的根拠はありませんが、マーケットに関する仕事をしていると、確かに2日に取引が始まる月は株価がよく動くなと思うことがあります。ちなみに、2019年の2日新甫は9月(今月)と12月のみです。9月は日経平均株価が10連騰し2万2,000円を一時回復するなど、これまでのところは順調に来ています。月末にかけて、まさかの波乱があるのでしょうか。
54歳男性「貯蓄に励んできた我が家に合う金融商品を教えて」
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、現在の資産運用に迷いのある54歳男性。いまの家計に合った金融商品を知りたいといいます。また年間100万円かかる趣味の家族旅行を老後も継続していきたいといいますが……。FPの伊藤亮太氏がお答えします。60歳で仕事を引退したいです。56歳から役職定年で150万円ほど年収が下がります。退職金は3000万円ほどの予定です。今の投資商品のままで大丈夫でしょうか。もう少し投信を増やしたい気もします。ほかの金融商品を使ったことがないのですが、我が家に合うものがあれば教えていただけないでしょうか。子供の将来に不安があり、住宅ローン返済と貯蓄に励んできましたが、ローンを完済すると気が緩み、趣味の家族旅行に毎年100万円ほど使ってしまいます。できれば70歳までは家族旅行を続けたいと思っています。〈相談者プロフィール〉・男性、54歳、既婚(妻:55歳、パート)・子供2人:25歳(障害年金受給中)、17歳(私立大学に進学予定)・職業:会社員・居住形態:持ち家(戸建て)
貯金か、運用か?手元に入る社内預金250万円の使い道
FPの家計相談シリーズ
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、社内預金制度が廃止され、貯めていた250万円が手元に入るという32歳の未婚女性。そのお金を運用するか貯金するかで悩んでいるといいます。マネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFP秋山芳生氏がお答えします。現在、主に社内預金(年利率0.5%)で貯蓄をしていますが、制度廃止が決まり、来年250万円程度が一括で普通預金口座に振り込まれる予定です。このお金を今後どう運用、貯金するべきか。もしくは制度廃止を待たずに解約して何らかの運用、または貯金にまわすべきでしょうか。迷っています。アドバイスよろしくお願いします。 <相談者プロフィール>・女性、32歳、未婚・職業:会社員・居住形態:賃貸(一人暮らし)・毎月の世帯の手取り金額:24万円(うち4万円は社内積立)・年間の手取りボーナス額:100万円(うち60万円は社内積立)・毎月の世帯の支出目安:20万円【支出の内訳】・住居費:7.4万円・食費:6万円・水道光熱費:1万円・教育費:
利回り7%の「JT株」を買う投資家が見落としているかもしれないリスク
あなたの高配当株は大丈夫?
あのたばこ株の配当利回りが7%を超えた――。市場関係者の間で今話題になっているのが、日本たばこ産業(JT)の予想配当利回りです。その利率は、今月初頭に一時7%を超えました。みんなが知っている大企業で、国営企業の流れをくむJTが、普通預金金利の何十倍、何百倍にも上る利率となっている状況です。この条件が魅力的に映るのか、個人投資家の間ではJT株を購入しようかと迷う声もチラホラと聞かれます。
金融機関との正しい付き合い方とは?
自分のことは自分で守る
これから投資を始めようと思っている方と話していると、よく聞かれる質問の一つに「金融機関とはどう付き合えばいいのですか?」が挙げられます。どう付き合えばいいのか、という質問に最初は驚いてしまったのですが、その真意はネットで色々と調べていると、金融機関に騙されたり、高い手数料を払わされたりする否定的な記事を見かけ、信じていいか不安ということでした。たしかに、必要のないものを営業されたり、他で買えばもっと手数料が安かったのに、と後から気づいた経験のある人もいるでしょう。今回は筆者の考える金融機関との付き合い方を紹介したいと思います。
2019年後半戦のIPO企業に“第2のソニー”はいるか
約1ヵ月ぶりに新規上場が再開
8月9日上場のステムリム(証券コード:4599)からひと休みに入っていた日本株のIPO。それが9月12日、ピー・ビーシステムズ(4447)の新規上場によって約1ヵ月ぶりに再開します。IPOとは新規公開を指し、企業の株式が取引所で売買されるスタートラインに立つことを指します。株価の急騰が見込めるケースがある一方、投資初心者には銘柄の見極めが難しい面もあります。そこで今回は、IPO投資の特徴と注意点、見分け方などについて考えてみます。
続・今こそ「有事の金」?ゴールドに投資する意味を考える
円建てでもポーフォリオに入れておこう
世界的に見ると、金はドル建ての取引が中心です。金は長らく通貨として利用され、近代まで主要国は金本位制という通貨体制の下にありました。その後、主要国で金が通貨であることはなくなったのですが、価値の貯蔵として、今でも利用されています。前回の記事に続き、今こそ金を投資先の一部に含める意味について考えてみます。
利回り6%超も!9月末に権利が取れる「高配当銘柄」ランキング
メリットと注意点は?
日経平均株価ベースで見た1株当たり利益は、今年1月4日時点で1,764円でしたが、8月30日時点でも1,764円と変わっていません。米中貿易戦争の影響が業績に影を落とし始めている企業はあるものの、全体で見てみると、現時点での影響は限定的なものとなっているようです。このように株価が上にも下にも動きにくい状況で注目されるのが、配当利回りに着目した株式投資です。金利が一段と低下し、債券で魅力的な投資先を見つけることが難しくなる中でも、前述のように、配当金の元となる日本企業の利益はあまり落ち込んでいません。一方で、9月は3月末決算企業の中間期末に当たるため、配当落ちする銘柄が多くあります。配当狙いで購入するには今月が格好のチャンスであり、次の機会は半年後を待たないといけません。9月末に配当を得られる高配当銘柄には、どのようなものがあるのでしょうか。
個人投資家はどのようにして銘柄を選ぶのか?
銘柄発掘方法は十人十色
先月は株式投資をメインとしている個人投資家の集いに参加させてもらう機会が多くありました。 東京・名古屋・大阪と周るなかで、偶然だとは思いますが、個人投資家が銘柄を選ぶ際に重視しているものが地方ごとにきれいに分かれていて、非常に興味深かったのです。3地域でそれぞれが重視してた点と、一方でどこも共通して大切にしていた点。今回はこちらを例に4つのポイントについて共有していこうと思います。