はじめに

「投資信託は長期保有が原則」といわれますが、それは保有している投資信託が存続したらの話。なかには長期保有を前提にしたのに、繰上償還などによって長期保有ができなかったケースもあります。投資信託の長期保有ができなくなるケースをまとめてみましょう。


そもそも信託期間の残りが短い場合

基本的に投資信託は「信託期間」という運用期間を決めて運用されています。そして信託期間が終了した時点でファンドは償還となり、その時点で保有している受益権の口数に応じて、受益者に償還金が支払われます。

現在、国内で設定・運用されているファンドの大半は「追加型」といい、新規設定で運用が開始された後も、自由に追加購入・解約が可能なタイプで、一般的に信託期間は10年、あるいは20年というように長期で設定されています。

しかし、信託期間が20年のファンドを、運用が開始されて15年が経過した時点で買ってしまうと、償還まで5年間しか残されていません。償還される前に約款変更し、信託期間を延長するケースもありますが、受益権の残存口数が少なければ、ほぼ間違いなく償還となります。したがって、長期保有を前提にして投資信託を買う場合は、まず信託期間をチェックし、残りの年数がどのくらいなのかを確認する必要があります。

ちなみに信託期間が「無期限」とされているファンドは、原則として償還されずに運用が継続されるため、信託期間の残存年数を気にする必要はありません。

繰上償還に要注意

ただし、信託期間が無期限とされているファンドでも、解約が増えて受益権口数が大幅に減少していると、繰上償還されるケースがあります。これは信託期間が設けられているファンドでも同じです。

繰上償還される場合、償還日時点の基準価額で計算された償還金が支払われますから、購入した時の基準価額に対して、償還日時点の基準価額が下落していると、実現損を被ることになります。「一時的に値下がりしても、解約せずに保有し続ければ、マーケットが回復して、含み損が解消する可能性がある」といわれますが、それ以前に繰上償還されてしまったら、含み損が解消されるチャンスを失ってしまいます。

繰上償還される基準については、目論見書に記載されています。多くのファンドは、受益権口数が30億口未満になった時点で、繰上償還を検討すると明記されているので、自分の保有するファンドの純資産総額が少なくなった時には、受益権口数を計算して、繰上償還条項に引っ掛かっていないかどうかを調べる必要があります。ちなみに受益権口数は、純資産総額を1口あたり基準価額で割って求めることができます。

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