はじめに

今年から新NISAを始めた人にとって最初の洗礼になった、トランプ政権による株価暴落。自分が積み立てたお金が一気にマイナスになってしまって、投資を続けるべきか迷っている人が多いかもしれません。中には、「やっぱり投資は自分には早かった」と思ってやめてしまう人もいるかもしれません。では、今回のような暴落した時、どのように考えればいいのか、正しい行動は何なのかについて、FPが解説します。


トランプ政権の政策と暴落の背景

2025年春、アメリカでトランプ大統領が再び政権を握ったことで、世界の株式市場が大きく動きました。ニュースでは「トランプショック」と呼ばれ、日経平均株価やアメリカの株価が数日で大きく下がりました。

なぜ株価が下がったのか、その要因を次から解説します。

1.関税
まず大きなきっかけとなったのが、トランプ大統領が「アメリカに入ってくる外国の商品に、これまでよりも高い関税をかける」と発表したことです。関税とは、外国から輸入する商品にかかる税金のこと。自動車や電子部品、医薬品など、さまざまな商品が対象になりました。

トランプ政権は「アメリカの産業を守るため」として、外国からの輸入品に25%もの追加関税をかけると発表しました。これにより、アメリカに商品を売っている国は「自分たちの商品が売れにくくなる」と心配し始めました。

2.報復関税
アメリカが高い関税をかけると、他の国々も「それならアメリカからの輸入品にも関税をかける」と対抗します。これを「報復関税」といいます。
この関税のかけ合いによって、国どうしで物のやりとり(貿易)がしにくくなってしまいます。

たとえば、日本の企業がアメリカに車や部品を売ろうとしても、関税が高くなれば値段も上がり、売れにくくなります。逆に、アメリカの商品も他の国で売れにくくなります。このような要因で貿易がしにくくなると、企業の売上や利益が減ってしまう心配が出てきます。特に、海外でたくさん商品を売っている企業や、外国から材料を仕入れている企業に大きな影響が起こります。

この流れの中で、「これから企業のもうけが減るかもしれない」「景気が悪くなるかもしれない」と多くの人が不安になりました。このような不安が広がると、投資家たちは「今のうちに株を売っておこう」と考えます。多くの人が一斉に株を売ると、株価は急激に下がります。日本でも日経平均株価が大きく下がり、アメリカや世界中の株価も同じように下がりました。

今回の暴落はトランプ大統領の一声で起きた暴落といえますが、株価の暴落は特段珍しいことではありません。実は、こうした大きな下落は数年に一度は起きています。

リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)など、過去にも大きな暴落はなん度もありました。ですが、どの暴落も数年後には株価が元に戻り、それ以上に上がっているという歴史があります。

暴落時にやってはいけない行動

株価が急に下がると、「どうしよう」「もう投資はやめた方がいいのかな」と不安になります。ですが、焦って間違った行動を取ると、せっかくの資産づくりが台無しになってしまうこともあります。ここではやってはいけない行動をいくつかお伝えします。

1. あわてて全部売ってしまう
「これ以上減ったら困る」と思って、持っている投資信託や株を全部売ってしまうのは、実は一番やってはいけないことです。なぜなら、暴落したときに売ると「安い値段で売る」ことになり、損失が確定してしまうからです。たとえば、100万円で買った投資信託が80万円になったときに売ってしまうと、20万円の損が確定します。しかし、その後に株価が戻れば、また100万円以上になる可能性もあるのです。

2. 積立投資をやめてしまう
「もう怖いから積立をやめよう」と思う人も多いですが、これもNGです。積立投資は、価格が下がっているときこそ「安くたくさん買える」チャンスです。同じ金額で買い続けることで、平均購入価格を下げることができ、長い目で見ると有利になることが多いのです。

3. ネットやSNSの噂に振り回される
「今すぐ全部売った方がいい」「この株を買えば大丈夫!」「アメリカはオワコンだ」など、ネット上にはいろいろな情報が流れています。しかし、こうした情報に流されて、慌てて売ったり買ったりするのは危険です。投資は「自分の目的」と「計画」を大切にしましょう。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]