はじめに

せっかく新築の家を買っても、「住宅ローン減税」が使えないケースがあります。2025年現在、住宅のスタンダードは耐震住宅から省エネ住宅に変わっています。「新築なら住宅ローン減税は当たり前に受けられる」というのは、もはやかつての常識。住宅ローン減税でも「省エネ性能基準適合」がスタンダードになりつつあります。


新築=住宅ローン減税が使える、ではない

住宅ローン減税は、正式には住宅借入金等特別控除といいます。住宅ローンを組んで自身の住まいを買った人が利用できる制度で、所得税もしくは住民税の金額をダイレクトに減らすことができる税額控除というしくみです。減税額は年末時点の住宅ローン残高の0.7%で、毎年計算します。住宅ローン減税を利用すると、最長13年間つづけて税金を安くすることができるため、上手に使えば数百万円の節税効果が受けられる可能性があります。

ただし、その対象となるのは、一定の要件をクリアした家だけです。特に、2025年現在では、気候変動対策をふまえた法改正により住宅のスタンダードが耐震住宅から省エネ住宅へ変わりました。それに伴い、住宅ローン減税も原則として「省エネ性能基準を満たす家」に限られています。

新築住宅だからといって、住宅ローン減税を必ず受けられるわけではないのです。要件を満たしていない家は、新築住宅であっても住宅ローン減税を利用できません。

住宅ローン減税を受けられない新築住宅の例

例えば、以下のような新築住宅は住宅ローン減税の対象外です

省エネ性能要件を満たしていない新築住宅

住宅ローン減税の対象となる新築住宅は、以下のような基本の省エネ性能要件を満たす家のみです。基準を満たしていなければNGとなります。
・断熱等性能等級4以上および一次エネルギー消費量等級4以上

令和5年中に建築確認を受けている新築住宅もしくは未使用住宅だが、50㎡を超える家

新築住宅もしくは未使用住宅の例外として、令和5年中に建築確認を受けていれば省エネ性能要件を満たしていなくても対象となる、というルールがあります。こういった住宅を「特例居住用家屋」といいます。ただし、このような家の場合、以下の様な要件があり、床面積が50㎡を超えていれば、住宅ローン減税の対象外となります。後述する借入限度額の上乗せもありません。

  • 床面積 40㎡以上50㎡未満
  • 合計所得金額 1,000万円以下

転勤など年末までに家族で引っ越して住まなくなった家

住宅ローン減税を利用できるのは、原則として受ける年の年末時点で本人が住んでいる場合のみです。入居時点では住んでいても、年末時点で本人が住んでいなければ、基本的に減税の対象外となります(※災害によって住めなくなった場合を除きます)。

ただし、単身赴任をして家族が住んでおり、将来的に戻ってくる予定であれば、引き続き受けることができます。なお、転勤などやむをえない事情で引っ越す場合は、税務署に事前に届け出をすることで、再び住み始めた時に住宅ローン減税を利用できる可能性がありますが、その際、最初に受けた年の確定申告書と必要書類、証明書類の提出が必要です。

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