はじめに

初心者が特に注意すべき投資の具体例

では、具体的にどのような投資について、初心者は特に注意が必要なのでしょうか。ここでは代表的なものをいくつか挙げ、その理由を詳しく見ていきましょう。

1. 信用取引・FX(外国為替証拠金取引)のレバレッジ

信用取引やFXは、「レバレッジ」という仕組みを利用できる点が大きな特徴です。レバレッジとは「てこ」の原理のことで、少ない自己資金(証拠金)を担保に、その何倍もの金額の取引を行うことができます。

例えば、レバレッジ10倍なら、10万円の自己資金で100万円分の取引ができるといった具合です。このレバレッジ効果により、予想通りに相場が動けば、自己資金だけでは得られないような大きな利益を手にすることが可能です。これが、信用取引やFXの魅力として語られる点です。

しかし、その裏返しとして、予想と反対方向に相場が動いた場合には、損失も同様に何倍にも膨れ上がります。場合によっては「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の自己資金を請求されることもあります。この追証に対応できない場合、保有している自己資金が強制的に決済(ロスカット)されます。さらに、急な相場変動で自己資金以上の損失がでた場合は、追加資金が必要になります。
信用取引やFXの仕組みをしっかりと理解して、もし行う場合は、まずはレバレッジを効かせず、1倍で始めてみましょう。

2. 暗号資産(仮想通貨)

ビットコインに代表される暗号資産も、近年注目を集めている投資対象の一つです。短期間で価格が数倍、時には数十倍に急騰したというニュースを目にし、興味を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。暗号資産もレバレッジをかけることができる上に、この激しい値動きは、大きなリターンへの期待とともに、大きな損失の可能性も内包しています。

また、暗号資産は比較的新しい資産であり、法整備や規制がまだ十分に整っていない側面があります。取引所のセキュリティ問題やハッキングによる資産流出、あるいは取引所自体の破綻といった、従来の金融商品とは異なる固有の懸念点も存在します。将来性はありますが、現状では投機的な側面が強く、初心者が最初に手を出す投資対象としては、慎重な検討が必要です。

始める際は、仕組みを理解し信用のおける取引所で少額からにしていきましょう。

3. 未公開株・非上場株式

未公開株とは、証券取引所に上場していない企業の株式のことです。「将来有望な企業の株を上場前に安く手に入れられれば、上場時に大きな利益が得られる」といった魅力が語られることがあります。

しかし、未公開株への投資には多くの注意点があります。まず、上場企業のように情報開示が義務付けられていないため、その企業の財務状況や事業内容に関する正確な情報を得ることが困難です。

「必ず儲かる」「近々上場予定」といった甘い言葉で、価値のない未公開株を高値で売りつけようとする詐欺的な勧誘のターゲットにされやすい側面もあります。実際、未公開株の販売等を行うことができるのは、未公開株の発行会社や登録を受けた証券会社に限られています。

金融庁のホームページでも注意喚起がされており、「発行会社に問い合わせたら上場の予定はないといわれた」という被害にあうケースもあります。

もちろん、将来性のある有望な非上場企業も存在しますが、それを見極めるには高度な分析力と情報収集能力が求められ、初心者にとっては非常に難易度の高い投資といえるでしょう。

4. 仕組債・複雑な金融商品

仕組債とは、デリバティブ(金融派生商品=先物取引、オプション取引、スワップ取引など)と債券を組み合わせて、特定の条件を満たした場合に高い利回りが得られるように設計された債券のことです。

一見すると、通常の債券よりも高い利回りが魅力的ですが、その構造は非常に複雑です。多くの場合、特殊な条件があり条件が外れると大きな損失が発生する可能性があります。

また、仕組みが複雑であるため、手数料が比較的高めに設定されている場合が多い点にも注意が必要です。

金融機関から勧められたとしても、セールストークを鵜呑みにせず、ご自身でその商品の内容、どのような場合に利益が出て、どのような場合に損失が発生するのかを十分に理解することが不可欠です。理解が難しいと感じる場合は、手を出さないのが賢明でしょう。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]