はじめに
楽天証券の対応が不十分であったと考えられる3点
改めて楽天証券のこれまでの流れを振り返ると運用商品中9本を除外する旨をホームページおよび加入者へメールで発表しました。そしてそれらの投資信託を保有している方には、6月30日までに「回答書」にて意思表明をして欲しい、ただし除外に同意をする場合、回答は不要であるとしました。この発表の翌日、同社の名前が冠につく新たな投資信託をiDeCoに追加しました。
楽天証券のこの一連の流れの中で、対応が不十分であったのではと考えるのは以下3点です。
まず9本の投資信託を除外と評価した十分な情報が開示されていない点です。どれも説明は「パフォーマンスが基準を下回った」というだけに留まりました。今回除外の対象となった投資信託はそれぞれ独自の運用方針を掲げるアクティブファンドです。それぞれの戦略を魅力と考え投資している加入者からしたら、除外の評価に至った理由を個別に述べない限りは納得がいかないところでしょう。
二つ目は、除外後に追加したい商品について何も言及していない点です。例えば、投資目的が同じ投資信託で、低コストのファンドを追加の予定とか、評価がより高いファンドを追加予定といった情報があれば、除外に納得感もでるかも知れませんが、今回の楽天証券の情報では一方的に加入者の選択を閉ざしてしまうだけに感じます。さらに日にちをほぼ同じくして、楽天シリーズの投資信託を1本追加してきたことで、今後は自社関連の投資信託をいれてくるのだろうかと不安視したお客様もいらっしゃいました。
三つ目は、回答書の締め切りまでの期間が短いことです。例えば、企業型DCにおいても、商品除外は行われることがありますが、周知に充分な期間を設けるのが一般的です。自社社員が加入者である企業型でさえそのような配慮がなされるのですから、ひろく一般から加入者を募っているiDeCoであれば、少なくとも今回のように1ヶ月程度の周知期間が充分であるとはいえないのではないでしょうか。
いま急いで対応することはない
いずれにしろ、今回の件は、情報等整備したうえで再度発表されるのか、回答書期限を充分取った上で再度発表されるのか、それともまったく白紙撤回をされるのか分からない状況です。
楽天証券は、早々に除外に賛同しない旨の回答をした人も、手続きが再開したら改めて回答をして欲しいと伝えています。また除外自体が延期になっているので、現時点で配分指定変更やスイッチングも不要とのことです。
とりあえず、今急いでなにかをしなければならないことは一切ないわけですので、楽天証券を信頼して今後の発表を待ちたいものです。
私たちの暮らしの中で投資の重要性が増していく中、最も大切なことは国民が長期の資産形成を安心して継続できる投資環境を構築することだと考えます。市場の変動リスクは受け入れなければなりませんが、制度への安心感、金融機関への信頼感については、充分な理解を促す試みが必要かと思います。
私たち投資家も、変化には柔軟に対応しつつ、信頼できる環境を手に入れるため、今回のように疑問に思う点は素直に意思表明し、みんなで透明性の高い、分りやすい投資環境を手に入れる努力もしていく必要もあるかと考えています。
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