はじめに

私たちは、銀行口座に貯めたお金から生活費などを引き出したり、さまざまな費用を支払ったり、どこかにお金を振り込んだりしています。もしも銀行口座にお金がなければ、引き出しも支払いも振り込みもできません。ですから、「銀行口座の残高がマイナスになる」などということはなさそうですよね。

しかし、実は銀行口座の残高がマイナスになることがあります。それはどんなときでしょうか。銀行口座の残高がマイナスになる要因と影響を紹介します。


総合口座では残高がマイナスになる可能性がある

みなさんが普段利用している銀行口座の種類を確認してみてください。単に「普通預金」ならば、銀行口座の残高がマイナスになることはありません。普通預金は、自由にお金を預けたり引き出したりできる、銀行のもっとも基本的な口座です。

しかし「総合口座」ならば、残高がマイナスになる可能性があります。総合口座とは、普通預金に加えて、定期預金・積立定期預金などをセットで利用できる口座です。全国銀行協会の説明には、「「ためる」、「ふやす」、「受け取る」、「支払う」、「借りる」といった機能がセットになっている」口座とあります。

もしかするとお気づきの方もいるかもしれませんが、「借りる」とありますね。銀行の総合口座には、「貸越」というサービスがあります。貸越は、銀行の普通預金口座の残高を超える払い出しがある場合に、定期預金などを担保にお金を自動的に貸してくれるサービスです。つまり、総合口座でお金を借りた場合には、残高がマイナスになる可能性があるのです。

たとえば、公共料金の引き落としがあったものの、総合口座の普通預金に残高がなかった場合に、金融機関が貸越を行い、いったん立て替えてくれます。貸越は、急な出費や口座残高不足に対応でき、「うっかり支払えなかった」を防ぐことのできるメリットがあります。

「都市銀行」と「ゆうちょ銀行」で貸越のサービスが異なる

貸越のサービスは、都市銀行とゆうちょ銀行で条件やサービスが異なります。

都市銀行の貸越サービス

都市銀行の貸越サービスは、「自動借り入れ」(三菱UFJ銀行)「自動ご融資」(三井住友銀行)「総合口座貸越」(みずほ銀行)などと名前は異なりますが、以下のようなサービスになっています。

【都市銀行の貸越サービス】
・サービス概要…普通預金の残高が不足した場合、定期預金を担保に自動的に借り入れる。普通預金に入金をすると、自動的に返済される
・貸付限度額…円定期預金の合計額の90%または200万円のどちらか少ない金額
・貸付利息…定期預金の約定金利+0.5%

銀行によっては、定期預金以外を担保に貸越を利用できます。たとえば、三井住友銀行の場合、総合口座で保有している債券を担保にできます。利付債は額面の80%、割引国債は額面の60%の金額が担保になります。

なお、総合口座の貸越サービスは総合口座の初期設定で自動的に設定される場合もあれば、申し込み時に選択できる場合もあります。また、後から貸付サービスの利用の有無を変更することも可能です。

ゆうちょ銀行の貸越サービス

ゆうちょ銀行には「貯金担保自動貸付け」というサービスがあります。

【ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付け】
・サービス概要…通常貯金の残高が不足した場合、定額貯金や定期貯金を担保に不足分が自動的に貸し付けられる。通常貯金に入金をすると、自動的に返済される
・貸付限度額…円定期預金の合計額の90%以内(総合口座1口座につき300万円まで)
・貸付利息…定額貯金が担保の場合返済時の約定金利+0.25%、定期貯金が担保の場合返済時の約定金利+0.5%

都市銀行と同じようなサービスですが、少々条件が異なります。

また、貯金担保自動貸付けとは別に、口座貸越サービスも用意されています。なお、貯金担保自動貸付けが利用可能なときには貯金担保自動貸付けが優先されます。

【ゆうちょ銀行の口座貸越サービス】
・サービス概要…通常貯金の残高が不足した場合、ゆうちょ銀行が不足額を自動的に融資してくれる。返済は毎月8日に返済用口座から引き落とし、またはゆうちょATMで随時返済可能
・貸付限度額…10万円以上50万円以内(10万円単位)新規契約時は30万円まで
・貸付利息…年14%

ゆうちょ銀行の口座貸越サービスは、ほぼカードローンのような高い貸付利率になっています。申し込みをしないと利用できませんが、利用しないほうがよいでしょう。

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