はじめに

議決権行使でQUOカード? “隠れ優待”の仕組み

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議決権を行使するには、企業から送られてくる「招集通知」に目を通す必要があります。この通知には、会社の経営成績や今後の戦略、経営陣の略歴などが記載されており、株主としての判断材料が詰まっています。投資家にとっては必読の資料であり、初心者にとって企業への理解を深める良い機会になります。自然と企業分析のトレーニングにもなると思います。

一部企業では、議決権行使をした株主に対してQUOカード(500円程度)などのお礼を贈ることがあります。なぜかというと、企業にとっても議決権の行使率を高めることが重要だからです。議決権があまり行使されないと、「株主からの関心が薄い」と見なされ、ガバナンス上の評価が下がります。だからこそ、株主の声を積極的に集める手段としてこうしたインセンティブを用意しているのです。

企業側から明確に発表されることは少なく、“隠れ優待”と呼ばれることがあります。2025年6月時点では、椿本興業(8052)、サムティ(3244)、リミックスポイント(3825)など、複数の企業で実施が確認できます。多数の企業で実施されていますので気になる方は調べてみては。なお、予告なく廃止されるケースもあるため注意が必要です。

ネットでもOK!議決権行使の3つの方法

議決権行使の方法には、「郵送」「インターネット」「株主総会への出席」の3つがあります。

「郵送」の場合、総会通知に同封されている議決権行使書に○をつけてポストに入れるだけ。最近増えているのは「インターネット」での議決権行使、ネット行使(スマート行使®など)です。QRコードをスマホで読み取ると、WEBサイトが開きます。ログイン不要でそのまま投票できる企業も多く、非常に便利です。

郵送やネットでの事前行使は、株主総会に出席しない人が意思表明するための手段で、どちらかを選べる場合がほとんどです。

そして実際に会場へ足を運ぶ方法が、「株主総会への出席」です。社長や役員の話を直接聞いたり、質疑応答に参加したりすることができ、企業の“今”が見られる貴重な機会です。社長や経営陣の話し方や態度、空気感など資料やIRサイトでは読み取りにくい“生の情報”に触れられる場だと思います。初心者の方にとっては、他の株主がどんな視点で質問しているのかを見ること自体も学びになるでしょう。

企業によっては株主総会に出席した人へ“お土産”として記念品を贈るケースもあります。最近は減少傾向にあるものの、こうしたちょっとした楽しみも株主総会参加の魅力のひとつかもしれません。

ちなみに、議決権行使は原則“一度きり”なので、すでに郵送やネットで議決権を行使した場合は、総会当日に再度投票はできません。ただし、郵送やインターネットで議決権を行使していても、株主総会への出席自体は可能なことがあります。

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