はじめに
赤字続きの運用会社は要注意
したがって、投資信託を購入するときは、その運用会社の財務諸表にも目を通す必要があるのです。
運用会社の大半は非上場ですが、財務諸表はホームページで見ることができます。非常に目立たないところにひっそりと、「財務情報等」という項目があるので、そこをクリックしてみてください。そのなかに「一般社団法人投資信託協会 定款の施行に関する規則第10条に基づく開示事項」というのがあります。それを開くと、貸借対照表や損益計算書を見ることができます。
この数字を追っていくと、いろいろなことが分かります。ある程度の設立年数を経ている運用会社は過去の財務諸表も掲載しているので、時系列で数字を追っていくと、より正確な経営状況が分かります。たとえば貸借対照表にある株主資本の合計金額が継続的に目減りしている運用会社は、赤字が続いていて剰余金を取り崩さざるを得ず、株主資本が目減りしていると判断できます。
この状態が続く一方、外部から資本注入されなければ、いずれ剰余金が底を尽き、次は減資、つまり資本金を減らすことになる恐れがあります。
また損益計算書はどのくらいの損益が生じているかを判断できます。損益計算書の一番下の項目に「純損益」を示す箇所があります。純利益が続いていれば問題ありませんが、純損失が2期、3期と続いている運用会社は、事業の継続に疑義ありと考えた方が良いでしょう。
そもそも「エンゲージメント」などと称して、投資先企業あるいは投資候補先企業の経営に「ああだ、こうだ」といっている運用会社が赤字続きというのは、どうにも恰好が付きません。経営能力のない運用会社が、投資先企業あるいは投資候補先企業の経営にアドバイスをするなどというのは、ブラックジョークそのものです。
なお投資信託協会のホームページの「統計データ/調査」というタブから「統計資料一覧」をクリックすると、さまざまな業界データを見ることができます。そのなかで、「運用会社別資産増減状況」をクリックすると、「契約型公募投資信託の投資信託会社別資産増減状況」というデータに辿り着きます。この表の「純資産総額」が小さい運用会社は、投資信託の運用から十分な売上と利益が得られていない恐れがあるので、ファンドを買うときにはしっかり財務諸表をチェックするようにしてください。
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