はじめに
首都圏をはじめとする都市部では、資材価格の高騰や円安による輸入コストの増加などの要因により、マイホームの価格が上昇傾向にあります。加えて、住宅ローンの金利上昇が進んでいます。そのため土地価格も上がっている地域では特に「家を買いたいけれど、現実的に難しい」と頭を抱えている人も少なくないのではないでしょうか。
そこで、住宅価格の高騰や金利上昇がある中で、マイホーム購入を検討するときに取り得る現実的な対策について、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点から紹介します。
希望のマイホームが買えない都民が急増中
住宅価格の上昇に対して収入がそれほど伸びていない今、FPである筆者のもとに相談に来る都内に住みたい人たちの家計状況を見ていると、マイホームの取得がどんどん困難になっていることを実感します。
筆者はよく「返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)」を基準に、住宅ローンの借入額の目安を説明しています。家計に無理なくローンを返済していくためには、この返済負担率は年収の25%以内に収めることをおすすめします。なかでも、養育費と教育費が必要になる子育て家庭なら、20%以内が理想です。この返済負担率をもとに、以下のような一例を見てみましょう。
<共働きで世帯年収が800万円の35歳夫婦の場合>
返済負担率20%の借入額:3,700万円前後
返済負担率25%の借入額:4,600万円前後
※2025年5月時点の【フラット35】の最頻金利
世帯年収が800万円あっても、無理のない住宅ローンの借入額は3,700万円~4,600万円が目安となります。この金額を見て、「思ったより借りられない」と感じた方も多いのではないでしょうか?
しかも、この金額は「生活費が平均的な場合」の想定です。共働きで忙しく、外食や時短サービスなど支出がかさみがちな家庭では、同じ金額を借りたとしても家計が圧迫されるリスクがあります。家計状況次第では、無理なく返済できる借入額はもっと少なくなります。