はじめに
6月23日週、久しぶりにレーザーテック(6920)が全市場の売買代金トップとなりました。同社は、2024年1-6月、8-9月と全市場の売買代金トップでした。
しかし、2024年6月に米国のスコーピオン・キャピタルというファンドが、不正会計疑惑を指摘するレポートを公表しました。同社の商品であるマスクブランクス検査装置が、ライバル会社のKLAなどの製品に比べて品質が劣っていて、検査装置として使い物にならず、在庫が多いと指摘したのです。レーザーテックは、即日「不正会計の疑惑について明確に否定いたします」というリリースを出しています。
その後、2024年11月には、レーザーテックが「投資家からの要請」、「企業評価における有用性が低い」という理由で、受注状況の開示を廃止することを決定しました。以上の影響もあってか、株価は低迷し、売買代金は減少しました。
しかし、先週、みずほ証券が投資判断を「中立」から「買い」に格上げし、目標株価を16,000円から22,000円に引き上げたことが好感され、売買代金トップとなりました。みずほ証券は、2026年6月期 TSMCからDRAM向けとEUVマスク向けの受注回復が見込まれると説明しています。
アドバンテストは過去最高益更新を見込む
6月16日にJPモルガンは、半導体検査装置大手のアドバンテスト(6857)の目標株価を10,500円から11,000円に引き上げました。要因として、生成AI需要で「複数機能を1つのチップに集約したシステム・オン・チップや広域帯メモリー(HBM)関連の高い需要が続いている」といい、試験装置の需要増から「今後も業績は高い成長が実現できる」と説明しています。同社の当日の売買代金が5000億円を超える大商いとなりました。4月に公表した、26年3月期の連結業績予想について、営業利益で2420億円(前期比6.1%増)と、前期に続き過去最高益更新を見込んでいます。
半導体関連の上昇の一因として、6月上旬に公表された、WSTS(世界半導体市場統計)2025年春季半導体市場予測の影響も考えられます。2025年の世界半導体市場は前年比11.2%増の7008億7400万米ドルに達する見込みとされています。引き続き、データセンター投資の恩恵を受けるメモリー製品やロジック製品については高成長が予測されています。AI 関連以外では、 中国の補助金政策によりスマートフォンや家電向けなどで押し上げ要因が見られるとしています。リスク要因としては、関税問題や輸出規制を含む地政学的リスクの高まりが説明されています。また、 2026年は前年比+8.5%とさらなる市場拡大を予測しています。牽引役は引き続きAI 関連であり、エッジ AIなど応用領域が拡がることも、電子機器への半導体搭載金額の増加に繋がると期待されると説明しています。