はじめに

2025年上半期ダブルバガー銘柄:暗号資産・M&A編

ここからは上半期に株価が2倍以上に上昇した「ダブルバガー」銘柄を例示します。投資家にとって、今後の市場テーマや成長分野を見極める上で重要な指標となります。
まず個人投資家の注目を浴びたのは、暗号資産関連の銘柄でしょう。

暗号資産関連の急騰銘柄

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メタプラネット(3350)は、ビットコインを中心とした財務戦略を展開する企業で、2025年上半期も前年に引き続き、株価は5倍以上に急騰しました。同社は、ビットコインの大量保有を進めることで注目を集め、2025年6月末時点で約4,000BTCを保有し、今後3万BTCの取得を目指しています。また、株価上昇時に市場価格に対し1~2%のプレミアムで株式を発行する戦略により、資本調達と株価上昇を連動させる仕組みを構築しています。2025年3月31日を基準日として、1株につき10株の割合をもって株式分割を実施しました。

エス・サイエンス(5721)は、2025年に暗号資産投資事業への参入を発表し、株価が急騰しました。非鉄金属関連事業を展開する企業である同社は、従来の事業に加え、新たな成長ドライバーとして暗号資産投資を位置付けています。

2025年6月末時点でビットコインは約107,000ドルで取引されており、今年の上半期は大きく下落する局面があったものの5月に節目の10万ドルの取引水準を突破してからは一部のアナリストが年内にビットコインが150,000ドルから200,000ドルに達する可能性を指摘するなど期待している投資家も多いよう。米国株で暗号資産関連銘柄の中核であるCoinbase Global Inc.(COIN)は2025年第2四半期だけで株価が約2倍になる場面もありました。

東証の基準変更と再編加速の思惑

2023年以降、東京証券取引所は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた要請」を背景に、プライム市場、およびスタンダード市場の全上場企業に対し、低PBR企業の経営改善を求めてきました。さらに、今年4月22日には、グロース市場における上場維持基準が見直され、上場から5年を経過した企業に対して「時価総額100億円以上」という新たな条件を導入したこともインパクトがありました。こうした動きを受け、今後は企業再編やM&Aの活発化が一層進むと予想されています。

M&AやTOBが株価押し上げ要因に

低PBRで時価総額が小さい企業は、上場廃止リスクが現実的な懸念となっています。一方で、そうした企業がMBO(経営陣による株式非公開化)やTOB(他社による買収)などの対象となる可能性が高いとの思惑から、事前に株式を買い進める「先回り買い」が入り、株価が上がる現象も起きています。

通信機器を製造するナカヨ(6715)は、M&Aや事業再編による再評価を受け株価が上昇しました。

中央紙器工業(3952) は、また段ボールなどの包装資材を製造する名証上場で、2025年1月にニッコンホールディングスによる非公開化目的のTOB(株式公開買付け)発表を受けて株価が急騰しました。

海外によるM&Aにも注目です。カオナビ(4435)は、米投資ファンドのカーライル・グループによる買収で、TOB価格は2.2倍という異例のプレミアム評価が話題となりました。同社はクラウド型タレントマネジメントシステム「カオナビ」を中心に、企業の人材管理や戦略人事を支援するサービスを提供するSaaS企業です。

積極買収側として評価された銘柄も

一方で、M&Aする側の企業にも物色の矛先が。THE WHY HOW DO COMPANY(3823)は、M&A業界における総合不動産ディベロッパーのような存在です。

同社はIoTサービスを中心に事業展開しつつ、M&Aを積極的に行う企業であり、3月にはEV充電インフラ事業を展開するTerra Chargeの買収を発表しました。EV普及の加速に伴うインフラ需要増加期待、EV市場の成長に乗る先進的な取り組みが評価され株価が急騰しました。

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