はじめに
「この前は100円だったのに、今日は120円?なんでー!?」
スーパーのアイスコーナーで、そんな声を上げたのは小学3年生の娘。日々の暮らしの中で、子どもたちは意外としっかり「値段の変化」を感じ取っているんだなと、驚いた瞬間でした。
「物価上昇」という言葉を聞くと、難しそうな経済用語に思えるかもしれません。でも、毎日の買い物や食卓の中にある“身近な変化”なのです。
「物の値段が変わるってどういうこと?」「お金の価値ってどう決まるの?」
そんな疑問に、親子で一緒に向き合ってみる時間を、夏休みにこそつくってみませんか? 3人の子育て真っ最中のFPが実体験をもとにお伝えします。
子どもだって気付くほどの急激な“物価高”
最近は、子どものおこづかいや日常のお買い物でも、「前より高くなった」と気づく場面が増えました。それほど急な変化で、家計のやりくりをしている大人だけでなく、子どもですらおこづかいに大打撃のようです。
たとえば…
・いつも買っているお菓子が20円値上がりしていた
・ジュースの値段は変わっていないのに、パッケージが変わって量が減っていた
・「前は2個買えたのに、今は1個しか買えない…」
そんなひとつひとつの違和感を、子どもが感じたときこそがチャンスです。「なんで値上がりするんだろうね?」と問いかけて、一緒に考えてみましょう。
「なんで値段が上がるの?」をわかりやすく解説
物価が上がる理由にはいろいろあります。でも、子どもに伝えるときは、なるべく身近な例や感覚に置きかえることがポイントです。
たとえば…
・パン屋さんのパンの値段が上がったのは、小麦粉やバターの仕入れ値が高くなったから
・おにぎりの値段が上がったのは、お米や包装の材料が値上がりしているから
・運ぶトラックのガソリン代や、働く人のお給料が上がっている場合もある
つまり、モノの背景には“つくる人”や“運ぶ人”の努力やコストがあるということ。
「値段が上がる=損」ではなく、「それだけ多くの人が関わって、価値が変わっている」と伝えていくことが大切です。
家族でやってみよう!“物価を比べる体験”
夏休みは、親子で買い物に出かける機会が増える時期。その時間を、ちょっとした“学びの時間”に変えてみませんか?
おすすめなのが、「物価を調べてみようチャレンジ」です。買い物の途中や、家でチラシを見ているときなど、日常の中でできる手軽な体験です。お金の感覚や比較力を育てる、実践的な入り口になります。
たとえば…
・スーパーで似たような商品の値段や量を比べてみる(例:ポテトチップスの価格と内容量)
・チラシやネット広告でどこが一番お得かを探してみる
・「昔はいくらだったのか」を親子で調べてみる(例:アイス、ジュース、文房具など)
するとこんな会話が自然と生まれてきます。
「これは◯円高いけど、大袋だからいっぱい入っているね」
「この商品は小さいけど、有名なブランドだからちょっと高いのかも?」
「このアイス、昔は50円だったんだよ。ママもおこづかいで買ってたな〜」
こうしたやり取りを重ねる中で、「同じお金でも何を選ぶか」で結果が変わることや、価格と価値は必ずしもイコールではないことを、肌で感じ取ることができます。
また、物価の変化を調べることは、自由研究のテーマにもぴったりです。年代ごとの価格表やグラフを作ったり、親世代・祖父母世代にインタビューしてみたりするのもおすすめです。経済の流れを“家庭の視点”から体感することで、子どもの中にある「お金=暮らしの一部」という感覚が、自然と育っていきます。