はじめに
医薬品が中核──GRANOLASの根幹を支える製薬6社
GSK、Roche、Novartis、Sanofi、AstraZeneca、Novo Nordiskと、製薬企業が半数以上を占めているのは、欧州の研究開発力の高さと規模の大きさを物語っています。とくにバイオ医薬品や希少疾患、ワクチン領域への取り組みはグローバルな医療ニーズに応える重要な要素です。例えば、Rocheはがん治療薬で圧倒的な存在感を示す企業ですし、Novo Nordiskは糖尿病治療薬で世界的なシェアを誇ります。長期の収益基盤と研究開発の継続性が、配当や株価の安定成長に貢献しています。
生活に密着したブランド力──Nestlé・L'Oréal・LVMHの存在感
Nestléは世界最大の食品メーカーでキットカット、ミロ、ネスカフェなどご存知の方も多いはず。日用品・ヘルスケア分野でも成長中のL’Oréalは若年層・新興国でのブランド力が強く、化粧品など使っている方もいらっしゃるのでは。LVMHは富裕層の需要拡大に乗って売上・利益ともに過去最高水準です。
欧州テックの実力派──ASMLとSAPが担う次世代基盤
テクノロジー&エネルギー管理セクターといえるのが、ASML、SAPです。ASMLはEUVリソグラフィ装置という、半導体産業に不可欠な最先端技術を持つ独占的企業です。SAPは、経理・人事・在庫管理などをクラウドで統合管理するクラウド型ERPで世界の企業向けITインフラを提供しています。
米国テック株と比較して地味に映るかもしれませんが、安定性と将来性は侮れません。また米国株よりも“割安”で“高利回り”という魅力もあります。
米国のGAFAMやマグニフィセント・セブンに比べ、PERやPBRの水準が低めで配当利回りも高い傾向にあります。成長力では米国勢に一歩譲るものの、株主還元や長期保有の安心感は欧州勢に軍配が上がるとも言えます。
景気変動に強いセクターが多いため、景気後退局面でも業績が安定しやすい構造です。インフレ局面でも価格転嫁が可能な商品ラインアップを持ち、収益の継続性が見込まれます。
米国・日本に偏らない! GRANOLASが生む分散効果
日本では、S&P500指数や全世界型(半分以上が米国)という投資をされていて、ご自身のポートフォリオが米国に偏っていると考えられる方、また、日本株しかやっていないなど日本に偏っている方もいらっしゃるでしょう。
米国株や自国一辺倒の投資スタイルから脱却し、ポートフォリオに地域的・通貨的・業種的な分散を加えることは、中長期でのリスクとリターンの最適化に不可欠です。
特に、米ドルとユーロの相関性や、通貨ごとの景気循環を考慮することで、長期運用の安定性を高めることができます。
2025年時点では、米ドルが年初来で1973年以来の低パフォーマンスを記録するなど、ドル一強時代に陰りが見えはじめています。そうした背景で、ユーロ建て資産への投資をポートフォリオに加える価値は高まっています。