はじめに
機関投資家のフィルターを通す
運用会社、とりわけ投資信託を設定・運用している運用会社は、場合によっては個人の人生を左右するような性質を持つ資金の運用を任されています。その意味において、運用者の職責は極めて重く、途中で運用を投げ出すわけにはいきません。
しかし、経営そのものが成り立たないとなれば、その運用会社は運用ファンドを他社に移管させるか、もしくは繰上償還させるより他に手がありません。そのような無責任な行動を取らせないようにするためにも、アクティブファンドを運用する新設の独立系運用会社は、まず機関投資家からのサポート資金でパイロットファンドを設定・運用し、その運用成績次第で、個人に対して門戸を開いても良いかどうかを検討するべきでしょう。
本当に良いアクティブファンドであれば、パイロットファンドとして運用されている期間中に、機関投資家から運用資金が追加拠出される可能性がありますし、そうすれば5年が経過した時点で、ファンドの運用資産の規模もある程度まで育つため安定経営が実現できます。
新しく設立される独立系運用会社の最大の弱点は、ほぼ運用実績がない状態でコツコツ資金を集め、経営を成り立たせなければならない点にあります。ファンドに運用資金が集まらなければ、赤字がどんどん累積しますし、追加出資を受けることができなければ、その運用会社は債務超過に陥ります。
新設されたばかりの独立系運用会社のアクティブファンドを個人が購入するのは、その運用会社の運用能力が分からないまま、自分の大事なお金の運用を任せるリスクに加え、経営が成り立たなくなった時に、運用の継続性が断たれるリスクも合わせて抱え込むことになるのです。
これだけのリスクを、投資信託に関する知見をほぼ持たない投資初心者の個人に背負わせるのは、酷というものです。運用会社の新規参入を促進するための規制緩和は結構ですが、新設された運用会社に伴うこれらのリスクを個人に背負わせる前に、投資のプロである機関投資家のフィルターを通したうえで、生き残った運用会社が個人に運用サービスを提供できる体制を整えるべきでしょう。
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