はじめに
社会保険給付の減額を避けるためには
「給与減額型」企業型DCは、会社がその手続きをすべて行ってくれたり、手数料を負担してくれたり、制度の説明を行ってくれたりとはじめて確定拠出年金に触れた方にとっては、資産形成の第一歩として大いにその役割を果たしてきたと思います。
しかし、2017年にiDeCoの加入資格が拡大したことにより、iDeCoは年々その認知度が高まり、制度も成熟してその存在意義が増してきました。「長生きリスク」に備えるために企業型DCで積み立てをするとその代償として社会保険給付が減少してしまう「給与減額型」は、20年以上の時を経た今その有りようを再評価すべき時なのではないかと考えています。
特に今回の制度改正により、現状「給与減額」できる上限が月55,000円だったところ(DBも併設されている会社の場合27,500円)62,000円まで引き上がることになりました。会社によっては法律上の上限をそのまま「給与減額」の上限としていないところもありますし、そもそも掛金額は本人が希望をして設定するものです。
しかし、掛金を引き上げるとその分の社会保険給付が減少してしまうことを、上限が引き上げられるこのタイミングで改めてご認識いただくことが重要であると考えるのです。
もし社会保険給付の減額を希望しないのであれば、企業型DCの「給与減額」を利用せずにiDeCoに別途加入しましょう。今回の改正では、iDeCoを選んでも最大月62,000円まで、企業型DCの併用であれば合計で62,000円までの掛金拠出ができるようになります。
iDeCoへは、社会保険料を引かれた後の手取り給与から掛金を拠出するので、社会保険の給付の減少はありません。一方、節税メリットは、企業型DCで受けるのと同等のメリットが受けられます。
掛金上限額の引き上げの施行までは、少し時間があるようですが、ぜひ今のうちにご自身が加入する健康保険、雇用保険や厚生年金などの仕組みを確認していただいて、今後の確定拠出年金への掛金拠出額を検討していただくと良いのではないかと思います。
なお、今回の解説はわかりやすくするために税金や社会保険料、社会保険給付の計算をかなり単純化しております。ご自身のケースについては会社の担当部署に尋ねたり、ご自身で判断できない場合は、ファイナンシャルプランナーに相談したりして、理解を深めていただけると幸いです。
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