はじめに

損害保険業界には、「火災保険の2025年問題」と呼ばれる課題があります。かつて火災保険の契約期間は最長36年でしたが、2014年10月に最長10年へ短縮され、さらに2021年10月には最長5年となりました。

そして2025年10月には、「最長10年」に変更された初年度の契約が一斉に更新を迎えるため、契約更新件数が集中して増加します。つまり、今後は火災保険を5年ごとに見直す時代になるということです。生命保険よりも見直す機会が多くなったともいえるでしょう。

一方で、火災保険料は年々値上がりしており、家計への負担は増加傾向にあります。更新の手間もありますが、この「2025年問題」を逆に活用し、契約内容を見直すことで保険料を抑え、より賢く加入する方法もあるのです。


火災保険は選ぶ時代になった

火災保険にどのように加入したか、思い出してみてください。住宅ローンの契約時に金融機関や不動産会社に勧められるまま加入した、という方も多いのではないでしょうか。

しかし、必ずしも勧められた保険を契約する必要はありません。火災保険は、自分で選ぶことができるのです。

契約している火災保険の補償内容を確認したことはありますか?本当に必要な補償が入っているでしょうか。反対に、不要な補償が含まれている可能性もあります。比較検討していない場合、もっと安い保険があるかもしれません。

以前は、火災保険を自分で比較検討することが難しい面がありましたが、近年ではインターネットで見積もりから契約まで可能になっています。複数社を比較して保険料や補償内容を確認することで、節約につながることもあります。

それでは、火災保険を選ぶ際のポイントについて、お伝えしていきましょう。

長期一括契約で保険料を抑える

地域や建物の構造、築年数などにもよりますが、過去10年間で火災保険は5回改定され、そのたびに保険料が引き上げられてきました。地域によって差はありますが、東京都の場合、この10年間でマンション構造の建物で約62%の値上げとなっています(※)。

※損害保険料率算出機構の参考純率をもとに筆者が算出

その背景には、近年の自然災害による被害額の増加があります。線状降水帯の発生や大型台風、温暖化の影響による豪雨や洪水など、大規模災害が相次いでいるためです。被害額が増えれば保険金の支払総額も増え、結果として保険料の引き上げは避けられません。今後も災害が増えると見込まれており、保険料はさらに上がる可能性があります。

「保険料はどんどん上がるし、更新の手間も増えるなんて困ったものだ」と、嘆く声が聞こえてきそうです。そこで有効なのが、できるだけ長期で契約することです。契約期間中は保険料の改定に影響を受けず、さらに5年分を一括払いにすれば、長期割引が適用され、保険料を抑えることができます。

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