はじめに

米国株市場をけん引するテクノロジー大手。なかでもエヌビディアを含む「FANGプラス」は指数の中核を担う存在となっています。最新決算ではAIやクラウドへの巨額投資や地政学リスクへの強さが示されました。割高感への懸念がある中、今後の成長性と投資戦略をどう見極めるべきか――注目ポイントを整理しました。


エヌビディア決算と「FANGプラス」注目の背景

今週8月27日(米現地時間・市場終了後)に発表されたエヌビディア(NVIDIA)の第2四半期(5〜7月)決算は、売上高・純利益ともに過去最高を更新しました。今回は、エヌビディアを含めたテクノロジー大手の直近決算と、米国主要ハイテク株の将来性について考えてみたいと思います。

近年の米国株式市場では、S&P500に占める上位数社の比率が加速度的に高まり、指数構造に大きな変化が生じています。なかでもテック大手は「マグニフィセント・セブン」や「FANGプラス(FANG+)」と呼ばれ、もはや単なる企業の集合ではなく、市場全体を左右する存在となっています。

「マグニフィセント・セブン」とは、アルファベット(Alphabet/Googleの親会社)、アマゾン(Amazon)、アップル(Apple)、メタ(Meta Platforms/旧Facebook)、マイクロソフト(Microsoft)、エヌビディア(NVIDIA)、テスラ(Tesla)の7社を指します。

一方、「FANGプラス」は、Facebook(現・Meta Platforms)、Amazon、Netflix、Google(現・Alphabet)の頭文字「FANG」に、アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)、エヌビディア(NVIDIA)、ブロードコム(Broadcom)、サービスナウ(ServiceNow)、クラウドストライク(CrowdStrike)を加えた計10社で構成される指数です。採用銘柄は四半期ごとに見直され、2024年9月以降はテスラは非採用となっています。構成はMicroSectorsが公表するNYSE FANG+の仕様に準拠します。

2025年8月25日時点の構成比率は、エヌビディア(NVIDIA)11.67%、アルファベット(Alphabet)11.08%、ブロードコム(Broadcom)11.03%、アップル(Apple)10.86%、メタ(Meta Platforms)10.10%、アマゾン(Amazon)9.92%、マイクロソフト(Microsoft)9.86%、ネットフリックス(Netflix)9.33%、サービスナウ(ServiceNow)8.19%、クラウドストライク(CrowdStrike)7.96%となっています。

なお、「マグニフィセント・セブン」は投資家の間で知名度が高い呼称ですが、市場を象徴する7社をまとめた便宜的な表現に過ぎません。一方の「FANGプラス」は正式に算出される指数であり、実際の投資商品にも連動している点で実務的な意義が大きいと言えます。

S&P500のような指数連動型投資は手軽さから支持を集めますが、「FANGプラス」銘柄はその中でも比率が大きく、指数の中核を担っています。したがって、これらの動きはポートフォリオ全体の収益性に直結します。そのため、指数ベースでは拾いきれない“質の違う成長”を選択的に取り込む投資対象として、「FANGプラス」への注目は合理的だと言えるでしょう。

「FANGプラス」に共通する強み

「FANGプラス」に共通するのは、早くからAIの社会的・経済的意義を直視し、AIやクラウド、デジタルサービスといった次世代インフラを巨額の資本支出で整備してきた点です。例えばマイクロソフト(Microsoft)やアルファベット(Alphabet)、アマゾン(Amazon)、メタ(Meta Platforms)といった企業は、前例のない規模でAI対応のデータセンターに投資しました。当初は「もろ刃の剣」とも見られましたが、現在ではAIは流行ではなく産業を支える基盤となり、他社には追随困難な参入障壁と持続的な収益源を築いています。

また、地政学・関税リスクに強いビジネスモデルを持つ企業が多いのも特徴です。製造業や輸出型企業が貿易摩擦で打撃を受ける中、サービス型・クラウド型・広告型の収益構造により、比較的安定した事業運営を可能にしています。さらにAIやクラウド、広告収益を通じて国境を越えた展開を進め、世界的にトップシェア級の地位を築いています。先行者メリットに加え、サブスクリプション型サービスも多く、強固な収益基盤は政策変動や地政学リスクへの耐性にも寄与しています。日本でも総務省「情報通信白書」が示すようにデジタル貿易収支は年々悪化しており、Microsoft 365やGoogle Cloudなどクラウド・ソフトウェア分野で海外依存度が一段と高まっています。

割高懸念…投資家にとっての転換点と金融環境

市場では割高感や行き過ぎとの指摘もありますが、中長期的にはなお成長余地があると考えます。その背景には、前述した競争優位性に加え、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策があります。

8月22日のジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長は利下げ再開の可能性を示唆しました。「関税は長期的にインフレを誘発し得る」「金利は依然として引き締め的であり、政策調整は正当化され得る」といった発言を受け、市場では9月からの利下げ開始を織り込む動きが強まっています。特に、金融緩和に前向きな姿勢を意味する「ハト派的なスタンス」と受け止められたことから、利下げ期待が一段と高まりました。
金利低下は成長株にとって明確な追い風です。借入コストが減れば企業は投資を拡大しやすくなり、将来利益を株価に織り込みやすくなります。大手ハイテク企業にとっても、資本調達や人材確保が容易になり、競争力強化に直結します。したがって、今は投資判断における重要な転換点にあると言えるでしょう。

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